エムスケミー

エムスケミー：化学技術のグローバルリーダー

エムスケミー(Ems-Chemie Holding AG)は、スイス・チューリッヒ近郊を拠点とする世界的な化学製品メーカーです。20カ国以上に現地法人を持ち、スイス証券取引所にも上場しています(SIX: EMSN)。日本法人であるエムスケミー・ジャパン株式会社も、アジアにおける主要生産拠点として重要な役割を担っています。

戦時下の創業からグローバル企業へ

エムスケミーの歴史は1936年にWerner Oswald氏によってチューリッヒ近郊に設立されたHolzverzuckerungs AG (HOVAG) にまで遡ります。第二次世界大戦の勃発を受け、HOVAGは自動車燃料添加剤の生産を開始。その後、木材を原料としたエチルアルコールの製造にも着手し、スイスの燃料需要の約3割を担うまでに成長しました。

戦後、HOVAGは事業転換を図り、ポリアミド系繊維の原料となるカプロラクタムの研究開発に注力。1949年には、プラスチック原料となるポリアミド繊維の製造・販売を開始しました。1954年には、日本の宇部興産にカプロラクタム技術のライセンスを提供。これは宇部興産の後の発展に大きく貢献しました。

1956年にはエチルアルコール製造から撤退し、エンジニアリングプラスチックと繊維技術に経営資源を集中。同年、イギリスに最初の海外拠点を設立し、グローバル展開の第一歩を踏み出しました。1962年にはChemie Holding Ems AGとして上場企業となり(1981年に現在の社名に変更)、その後も積極的な事業展開を続けました。1960年代にはエポキシ樹脂やポリアミド系接着剤粉末などの開発にも成功しています。

1977年の日本法人設立を契機に海外進出は加速。1980年代にはドイツ、フランス、アメリカ合衆国などへ進出し、グローバル企業としての地位を確立しました。1985年にはスイスの産業用接着剤メーカーTOGO-Groupを買収、1997年にはアメリカのHBフラーとの合弁事業を開始するなど、積極的にM&A戦略も展開しました。

2000年には事業再編を行い、エンジニアリングプラスチック、産業用接着剤、繊維技術の3部門体制へと移行。その後も、合弁事業の解消や買収を通じて事業ポートフォリオの最適化を進め、現在に至っています。主要販売先はドイツ、中国、アメリカなどですが、日本はアジアにおける重要な生産拠点となっています。

日本法人の役割

エムスケミー・ジャパン株式会社は1977年に「エムスジャパン株式会社」として設立されました。2000年には昭和電工との合弁会社「エムス昭和電工株式会社」を設立しましたが、2005年にはエムスケミーが昭和電工の株式を全て取得し、現在の社名となりました。高機能ポリアミド樹脂製品の開発・販売に加え、ホットメルト接着剤やプリミッド（粉体塗料用硬化剤）の輸入・販売も行っており、東京に本社・技術センター、大阪に支店を構えています。

エムスケミーの未来

エムスケミーは、高度な技術力とグローバルなネットワークを活かし、エンジニアリングプラスチック、高機能接着剤など、多様な製品群を提供しています。今後も、持続可能な社会への貢献を視野に入れ、イノベーションを推進し続けることが期待されます。常に変化する市場ニーズに対応し、顧客の課題解決に貢献することで、更なる発展を遂げていくことでしょう。

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