エモンズ (駆逐艦)

エモンズ（USS Emmons, DD-457/DMS-22）

エモンズはアメリカ海軍の駆逐艦で、グリーブス級に属します。この艦の名前は、アメリカ海軍の少将であるジョージ・F・エモンズから取られています。艦は1940年11月にニュージャージー州で起工し、1941年8月に進水しました。その後、1941年12月に正式に就役しました。1973年に艦種が掃海駆逐艦に変更されるに至りますが、エモンズの真価が試されたのは沖縄戦の時期でした。

第二次世界大戦末期、エモンズは沖縄周辺での激しい戦闘に従事しました。1945年4月6日、ロッドマンと共にレーダーピケット艦任務を遂行中に、日本軍の特攻機による集中攻撃を受けました。艦は5機の特攻機に攻撃され、特に1機が艦の弾薬庫に突入し、大規模な爆発を引き起こしました。この攻撃により艦は大きく損傷し、乗組員の60名が戦死し、77名が負傷しました。これを防ぐため、エモンズは次の日に、敵の手に渡ることを避けるべく海没処分とされました。

エモンズは、その後苦難の歴史を伴う沈没を迎えました。沈没した場所は沖縄の古宇利島近くの海底です。2000年、遊漁船航行中の情報提供により、この艦が海底で発見されました。その後の調査により、艦が確かにエモンズであることが証明されました。多くのメディアがこの艦の存在に注目し、ダイビングスポットとしても知られるようになりました。具体的には、水深34mから46mの間に横倒しの状態で沈んでいます。潮流が速く、潜水に関する技術が必要なため、経験者向けのダイビング場所とされています。

エモンズの存在はさらに関心を引く出来事が続きました。2000年以降の調査では、周囲から発見された残骸の中に、九八式直接協同偵察機のエンジンや操縦桿が含まれていました。これは沖縄戦における特攻作戦に参加したことを示しており、特にその日には26機の九八式直接協同偵察機が新田原飛行場から発脱し、全ての機が帰還することはありませんでした。艦は多くの戦士の命と共に海底で静かに眠っています。

また、2010年にはエモンズの艦体がダイバーによって損傷を受けているとの報道があり、アメリカ本国での物議を醸しました。さらに、2022年には、沖縄県のダイビングショップから、エモンズの砲身に腰掛けたダイバーの写真がSNSに投稿され、地元のエモンズ・アソシエーションからの抗議を受ける事態となりました。このように、エモンズは単なる沈没船ではなく、多くの人々に影響を与え続けています。

近年、エモンズの元乗組員やその家族による戦友会も活動を継続しており、彼らの記憶を次世代に引き継いでいます。エモンズは歴史の一部として、また人々の想いを受けて今も海底に横たわっています。

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