エラリー・クラーク

エラリー・ハーディング・クラーク：オリンピック二冠と多彩な人生

エラリー・ハーディング・クラーク（Ellery Harding Clark, 1874年3月13日 - 1949年2月17日）は、19世紀末から20世紀初頭にかけてアメリカ合衆国で活躍した陸上競技選手です。彼は1896年のアテネオリンピックにおいて、走幅跳と走高跳の両種目で優勝するという偉業を成し遂げました。これは、オリンピックの陸上競技において、この2種目を制した唯一の選手として、彼の名を歴史に刻んでいます。

アテネオリンピックでの輝かしい成功

ハーバード大学の学生だったクラークは、アテネオリンピックに出場するために大学からの許可を得ました。しかし、チームメイトのジェームズ・コノリーは許可を得られず、退学を余儀なくされました。このエピソードからも、当時のオリンピック出場に対する大学の姿勢がうかがえます。

走幅跳では、クラークは助走路に帽子を置いてスタート位置を確認しようとしましたが、審判から「プロのすることだ」と注意を受け、2度にわたって帽子を取り除かれました。異例の状況下での競技となりましたが、3回目の跳躍で6.35mを記録し、見事に優勝を果たしました。

さらに、走高跳でも1.81mの記録で、2位のコノリーやロバート・ギャレットらを抑え、金メダルを獲得しました。砲丸投にも出場しましたが、こちらは7人中5位から7位という結果に終わっています。

国内での活躍と挫折

興味深いことに、クラークは国内の大会では走幅跳、走高跳ともに優勝経験がありませんでした。しかし、彼は混成競技を得意とし、1897年と1903年のAAU（全米体育協会）選手権では優勝しています。多種目をこなす能力に長けていたことがわかります。

1904年のセントルイスオリンピックでは、十種競技に出場しましたが、気管支炎のため5種目を終えた時点で棄権せざるを得ませんでした。その後も競技を続け、国内の主要な大会で好成績を収めました。

スポーツ以外の分野での活躍

競技生活を終えたクラークは、作家、弁護士、陸上コーチ、そしてボストン市議会議員など、多岐にわたる分野で活躍しました。彼の才能はスポーツにとどまらず、社会においても発揮されたのです。

エラリー・ハーディング・クラークは、オリンピックでの輝かしい成功だけでなく、その後の人生においても様々な分野で才能を発揮した人物でした。彼の多才ぶりと、スポーツマンシップは、今もなお多くの人々に感銘を与え続けています。

関連情報
オリンピックのアメリカ合衆国選手団
エラリー・クラーク - Olympedia（英語）

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