エリカ属

エリカ属について

エリカ属（学名：Erica）は、ツツジ科に属する植物の一群で、700種を超える種が存在します。主に南アフリカを原産地としており、アフリカの他の地域や地中海、ヨーロッパにも約70種が分布しています。この属の植物は、特徴的な花と葉を持ち、園芸や景観利用に豊富な食いだしがあります。

特徴

エリカ属の植物は常緑性の木本で、低木から小高木まで多様な形態を持っています。ほとんどの種の樹高は1メートル以下ですが、特定の種では5メートルに達することもあります。その多くは茎から多くの枝を出し、葉は輪生状態で配置されています。葉は針状または線状で、小さいものが多く、縁が裏側に巻いている特性があります。

花は茎の先端や葉の腋から出現し、単独で存在したり、穂状、総状、散形状の花序を形成します。多くの種では、花が下向きにぶら下がっています。花冠は筒状や壺状で、色合いは白や淡い紅色、紅紫、黄色まで多様です。また、花冠は宿在性を持ち、開花後も残ります。雄しべは通常8個、雌しべは1つで、果実は蒴果として多数の種子を含みます。学名の「Erica」はラテン語の名に由来しており、その起源はギリシャ語の「ereike」にあります。

種と分布

エリカ属には600種以上があり、特に南アフリカに多く分布しています。ヨーロッパには14種が存在しますが、南アフリカの中心で220種以上が知られています。分布は広範囲におよび、東アフリカから紅海周辺で約10種、さらに南ヨーロッパやコーカサス地方、サハラ山地にも分布する種が存在します。

代表的な種

• - Erica arborea（エイジュ）
• - E. carnea（スズランエリカ）
• - E. ciliaris（ケエリカ）
• - E. cinerea（ヒースエリカ）
• - E. gracilis

類似の群

ヨーロッパのヒースにはエリカ属と共にギョリュウモドキ属（Calluna）もよく見られます。これらは見た目が類似していますが、異なる属として分類されています。

利用

エリカ属の植物は、特にヨーロッパで長年愛され続け、園芸以外にも多様な利用方法があります。例えば、「ヒース・ビール」と呼ばれるビールはエリカの穂先と麦芽を使って作られます。園芸植物としては、特に美しい花を持つ種が知られ、庭園に彩を添える存在として重視されています。

園芸植物としての利用

エリカ属は、特にヨーロッパ原産種が有名で、庭園植物として重要な役割を果たしています。日本では栽培が難しいものもありますが、一部は鉢植えとして育てられています。アフリカ原産の種は花の色や形が多様で、最近では日本でもいくつかの種が人気を博しています。

景観におけるエリカ属

エリカ属やギョリュウモドキ属が繁茂する地域は、イギリスやドイツでは特有の景観を形成しています。これらの地域は開発が進みにくく、荒野としての価値を持ち、春には美しい花が咲き乱れ、訪れる人々に郷愁を与えます。エリカ属はそうした風景の重要な要素となっています。

参考文献

• - 『園芸植物大事典 2』 (1994) 小学館
• - 湯浅浩史『エリカ』(1997) 朝日百科 植物の世界 6、朝日新聞社
• - 石井林寧、井上頼数編『最新園芸大事典 第2巻 COF―HE』（1970）誠文堂新光社

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