エリザベート -愛と死の輪舞-

ミュージカル『エリザベート -愛と死の輪舞-』

『エリザベート -愛と死の輪舞-』は、宝塚歌劇団による人気ミュージカル作品で、オリジナルのウィーン版を基にして日本独自の演出が施されています。この作品は、ミヒャエル・クンツェが脚本と歌詞を手掛け、シルヴェスター・リーヴァイが音楽を担当し、絢爛たる舞台美術と共に、観客を夢の世界へと誘います。

来歴

この作品の導入は1992年、宝塚歌劇団の演出家小池修一郎がロンドンで出会ったことから始まりました。彼は音楽集の中で『エリザベート』を知り、翌年にはドイツ語のプログラムを手にする運命的な出会いを果たしました。これがきっかけで、日本での上演権が宝塚歌劇団に与えられました。そして、1996年に初演が行われ、当初は評判が芳しくなかったものの、次第に人気を集め、チケットが争奪戦に。この公演は一路真輝のさよなら公演としても特別な意味を持っていました。

評価が高まる中で、観客数量が右肩上がりに増えていき、2007年には150万人を突破し、2014年には600回以上の上演回数を達成しました。その後も、エリザベートの物語やキャラクターに強く共鳴したファンたちによって、再演が繰り返され、日本人にも馴染みの薄いハプスブルク帝国の歴史が広く知られるようになりました。特に、女性客を中心にオーストリアへの観光熱が高まり、全体で250万人以上の観客を動員したことは、この作品の重要性を物語っています。

宝塚版とウィーン版の違い

宝塚版の特徴の一つは、物語の核心である「死」を扱うキャラクターが、トートという名の「黄泉の帝王」に改編されている点です。他国の公演では「Death」という名前が一般的ですが、宝塚ではトップスターが演じる役割の特異性を考慮し、この変更が行われました。そのため、宝塚版ではエリザベートとトートのラブストーリーが色濃く描かれ、対してウィーン版は彼女と死の運命的な関わりに焦点を当てることにより、作品に異なる深みを持たせています。

あらすじ

物語は、煉獄で裁判にかけられた男、ルイージ・ルキーニから始まります。エリザベート皇后を殺害した容疑で、彼は自らの行動を語り始め、ハプスブルク時代の霊魂を呼び寄せていきます。1853年、少女時代のエリザベートが紹介され、命の危機からトートとの禁断の恋が芽生えます。彼は彼女に命を返し、愛を得るためにエリザベートを追い続けます。彼女はフランツ・ヨーゼフと結婚しながらも、自由と義務の狭間で苦悩する日々を送っていく中で、トートの誘惑に屈することなく生きる決意を固めていきます。やがて、息子ルドルフとの対立や、夫の不貞、さらには家族の悲劇など、様々な試練が彼女を襲います。

最終的にエリザベートは、トートとの対決を経て自らの運命を選び取ることになり、物語は彼女の「死」と愛への新しい理解を通じて、美しい終焉へと至ります。

まとめ

『エリザベート -愛と死の輪舞-』は、宝塚歌劇団の歴史に深く根ざし、数々の公演を通じて多くのファンに愛され続けている作品です。それは単なるミュージカルを超え、文化現象ともなったこの作品は、観客を夢中にさせる魅力を持ちながら、愛と死という普遍的なテーマを通じて、永遠の価値を提示しています。

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