エリシュム1世

エリシュム1世（在位紀元前1939年頃 - 紀元前1900年頃？）は、古アッシリア時代のアッシリア王であり、アッシリア王名表によればイルシュマの息子です。彼の時代は初期アッシリア時代と位置づけられることもあります。

エリシュム1世の治世は、アッシリア史において重要な転換期を迎えました。アッシリア王として初めて、17点にも上る多数の碑文が発見されており、彼の業績を知る上で貴重な情報源となっています。

彼の治世における最も重要な出来事の一つは、アールムの長、または行政官としてリンム職が初めて創設されたことです。リンム職は、アッシリア政治の根幹をなす制度として、形を変えながらアッシリア滅亡まで存続しました。リンムとアールムの詳細については、アッシリアの項目を参照してください。

また、エリシュム1世の時代、またはその前後の時代から、アッシリア商人のアナトリアへの進出が始まりました。彼自身の碑文には「鉱物、小麦、羊毛の移動の自由を確立した」という記述があり、このことから、彼がアッシリア商人の商圏確立に何らかの形で関与していたと考えられます。アナトリアの商業拠点であったカネシュ（現在のキュルテペ）からも、彼の碑文の写本が発見されており、彼の活動範囲の広さを示しています。

エリシュム1世の死後、息子のイクヌムが王位を継承しました。

エリシュム1世の治世は、アッシリアの政治・経済の発展に大きく貢献した時代であり、その後のアッシリア帝国の繁栄の礎を築いたと言えるでしょう。彼の業績は、古代オリエント史を研究する上で欠かせないものとなっています。

エリシュム1世の主な功績

リンム職の創設
アッシリア商人のアナトリア進出の支援
交易の自由化
多数の碑文の作成

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