エリトリア独立戦争

エリトリア独立戦争

エリトリア独立戦争は、1961年9月1日から1991年5月29日まで、エチオピア政府とエリトリアの分離主義勢力との間で発生した武力紛争です。この戦争は、エリトリア人民解放戦線（EPLF）とエチオピア人民革命民主戦線（EPRDF）が連携し、1991年にエチオピアの首都アディスアベバを制圧することで終息を迎えました。その結果、エリトリアの独立が確立されました。独立の過程においては、エリトリア内戦（1972年-1974年、1980年-1981年）やエチオピア内戦（1974年-1991年）といった関連する紛争も発生しました。

背景

エリトリアは1941年にイタリア領エリトリアをイギリス軍政が管理する形で、1952年にはエチオピア帝国との連邦制が導入されました。この時期、エリトリア内では独立促進派の勢力や、エチオピアへの統合を望む勢力が対立していました。1946年にはムスリム連盟が、1949年には独立派連合が組織されましたが、これに対抗する統一党はエチオピア政府の支援を受けていました。1955年、政府の公用語がアムハラ語のみに制限されたことに伴い、エリトリア人の権利は徐々に侵害され、エリトリアとエチオピアの関係は悪化していきました。

1960年代には、エリトリア解放戦線（ELF）が活動を開始し、最初はイスラム教徒中心でしたが、エチオピアによる連邦解体に伴い、キリスト教徒の参加も増加しました。

開戦

1961年9月1日、エリトリアの独立運動が本格的に始まり、ELFが最初の武力行使を行いました。エチオピア皇帝ハイレ・セラシエ1世は1962年にエリトリアを軍事的に併合し、独立運動は激化しました。この時期、勢力はELFが主導するものでしたが、1970年に一部のメンバーがマルクス主義者としてEPLFを結成し、以降はELFとEPLF間の権力争いが繰り広げられました。

帝政崩壊後

1974年、ハイレ・セラシエ1世がクーデターによって退位すると、ELFとEPLFは共闘し、エチオピア政府軍に対抗しました。その後、メンギスツ政権が誕生し、エリトリアの独立運動は再び高まりました。しかし、軍事作戦におけるひどい弾圧や虐殺が行われ、エリトリアのイスラム教徒とキリスト教徒の双方が苦しむ結果となりました。

ソビエト連邦の支援

デルグ政権は、ソビエト連邦からの支援を受けて戦力を強化しましたが、1988年のEPLFによるアファベトの戦いでは勝利を収め、政権への圧力が高まりました。1989年にはEPRDFが結成され、エチオピアの統一反政府勢力として台頭しました。これにより、EPLFと共にエチオピア政府に対して戦線を広げました。

独立承認

1991年5月、メンギスツ政権が崩壊し、EPLFがエリトリア州全域を支配下に置きました。続く和平会談において、エチオピア政府はエリトリアの独立に関する国民投票を認め、1993年4月に行われた国民投票で99%以上の賛成を得て、エリトリアの独立が国際的に承認されました。同年5月28日には国連がエリトリアの加盟を正式に認可しました。

エリトリア独立戦争は、長い経緯を経てエリトリアが独立を勝ち取る重要な出来事であり、地域の政治的状況や国際的な影響が複雑に絡み合っています。この戦争の結果、エリトリアは新たな国家としての一歩を刻みました。

もう一度検索