エリバ・アダド1世

エリバ・アダド1世（前1392年-前1366年）

エリバ・アダド1世は、アッシリアの王であり、父はアッシュール・ベル・ニシェシュであった（ただし、『アッシリア王名表』の一つの版ではアッシュール・リム・ニシェシュとなっているが、誤りである可能性が高い）。彼は甥であるアッシュール・ナディン・アヘ2世の後を継いで王位に就き、息子であるアッシュール・ウバリト1世が後継者となった。『アッシリア王名表』によれば、エリバ・アダド1世は第72代のアッシリア王であり、27年間在位した。

来歴

アッシリアの歴史において、「甥から叔父への継承」はしばしば流血を伴うものであったが、エリバ・アダド1世の即位に関する詳細は不明である。彼は、シャムシ・アダド1世以降のアッシリア王として初めて自らを「エンリル神の摂政」と称した。

彼の王印には、木のそばで向かい合う有翼のグリフォンと、足で二頭のグリフォンを掴む双頭のグリフォンが描かれている。これは、アッシリア美術における古い様式からの脱却であり、後のアッシリア彫刻の先駆けとなった。この王印は、中アッシリア時代の契約粘土板文書群に押印されている。

エリバ・アダド1世の治世は、強大なミタンニの影響下で始まったと考えられる。しかし、ミタンニでは王位継承をめぐる内紛が発生し、アッシリアはこれを好機と捉えた。トゥシュラッタとその兄弟アルタタマ2世の間で王位継承争いが勃発し、アルタタマ2世の息子シュッタルナ3世は自らをフルリ人の王と称し、アッシリアの支援を求めた。ミタンニ宮廷に親アッシリアの派閥が登場したことで、アッシリアはミタンニの影響力を打破し、逆にミタンニに影響力を行使できるようになった。エリバ・アダド1世の息子で後継者であるアッシュール・ウバリト1世は、この状況を最大限に利用し、ミタンニを崩壊に導くことになる。

この時代の年名に用いられている紀年官の名前は、商業的記録によって知られているが、アッシュール・ウバリト1世ではなくエリバ・アダド1世の治世に直接割り当てることができるものは比較的少ない。特定可能な紀年官の一人として、小ザブの要塞クァブラの総督アッシュール・ムタッキルがいる。彼はその地位を父親であるアッシュール・ダイヤーンから引き継ぎ、自分の息子に遺した。

エリバ・アダド1世の石碑は、アッシュール市で発見された2列の石碑のモニュメントであるStelenriehe（石碑の列）のものと特定できる最古の石碑である。後のアッシリア王、イリ・パダの子ニヌルタ・アピル・エクルは、彼の碑文でエリバ・アダド1世の子孫であることを主張している。

エリバ・アダド1世の治世は、アッシリアが周辺諸国に対する影響力を強め、中アッシリア時代と呼ばれる新たな時代を築く上で重要な転換点となった。

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