ミタンニ

ミタンニ王国について

ミタンニ（またはミッタニ）は、紀元前16世紀頃にメソポタミア北部、特にハブル川上流域にフルリ人によって建国された王国です。この国は当初、周辺に住むフルリ人の部族を統合し、強力な政治勢力を確立しました。ミタンニは、ヒッタイト語で「Mi-ta-an-ni」、アッシリア語では「Ḫa-ni-gal-bat」、つまり「ハニガルバト」と呼ばれ、多民族社会を特徴としていました。

多くの階級が存在する国家体制のもと、特に戦士階級が支配的でした。フルリ人の由来は正確には分からないものの、支配階級はインド・アーリア語派とされる起源を持っていると推測されています。ミタンニは、約300年間にわたり、各地と外交関係を築きながら繁栄しました。

歴史の歩み

ミタンニ王国は、中心地であるワシュカンニを首都として周囲の部族を統一し、隣国アッシリアも支配下に置きました。さらに、地中海沿岸のウガリットなどをも制圧し、エジプトやバビロニアとの対立も続きました。特に王家同士の政略結婚が頻繁に行われ、アルタタマ1世の娘がエジプトの王トトメス4世と結婚したことでも知られています。

新しい王トゥシュラッタが即位した頃、ヒッタイトの王シュッピルリウマ1世はミタンニを攻撃しましたが、この侵攻は成功しませんでした。その後、トゥシュラッタはエジプト第18王朝と同盟を結び、ヒッタイトやアッシリアに対抗するため、娘タドゥキパの婚姻を打診します。この婚姻に関する手紙がアマルナ文書に記されていますが、王アメンホテプ3世の死により実現には至りませんでした。

タドゥキパは、その後アメンホテプ4世（アクエンアテン）と結婚することになります。ミタンニにとってこの時期は、国内外における影響力を高める機会でもありました。

王政の変遷

紀元前1350年頃、ヒッタイトのシュッピルリウマ1世が再びミタンニに攻撃を掛け、トゥシュラッタは逃げますが、後に暗殺されます。この後、ヒッタイトと結んだ条約を通じて国境が定められ、アルタタマ2世が新たな王として擁立されました。ミタンニから独立し成功を収めたアッシリアの王アッシュール・ウバリト1世は、さらなる動乱の中でヒッタイトの圧力にさらされます。

最終的には、ヒッタイトの支援を受けたトゥシュラッタの弟シャッティワザが即位しましたが、アッシリアの攻撃にさらされ、再びヒッタイトの支配を受け入れる事態となります。

言語と文化

ミタンニの主要な言語はフルリ語であり、系統が明らかではない膠着語と考えられています。このフルリ語には明らかにインド・アーリア語の影響を示す単語や語彙も見受けられ、外交文書も楔形文字で書かれています。特に、馬の技術に優れていたフルリ人は、ヒッタイトにおける馬の技術を導入しました。また、多数の神名や人名にもサンスクリット由来のものが多く、フルリ人の文化がインド・アーリア系民族との繋がりを示唆しています。

近年の発掘調査

2019年、モスルダムの水位が低下し、ミタンニ王国のケムネ宮殿遺跡が発見されました。その他にも数多数の粘土板が出土しましたが、発掘後すぐに再び水没しました。2022年、再び旱魃により同遺跡が現れ、さらに多くの粘土板が発見されています。このような考古学的な調査は、ミタンニの歴史を解明する重要な手がかりとなるでしょう。

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