エリーザベト・フランツィスカ・フォン・エスターライヒ

エリーザベト・フランツィスカ・フォン・エスターライヒ：二つの王家を繋いだ大公女

エリーザベト・フランツィスカ・フォン・エスターライヒ（1831年1月17日 - 1903年2月14日）は、オーストリア帝室のハンガリー宮中伯家出身という高貴な血筋を持つ女性です。彼女の人生は、二度の結婚を通じてヨーロッパの王室と深く結びつき、慈善活動や芸術への貢献によって彩られました。

生い立ちと最初の結婚

エリーザベトは、ヨーゼフ・アントン大公とマリア・ドロテア公女の次女として、ハンガリーの首都ブダで育ちました。1847年、彼女はオーストリア＝エステ家のフェルディナント・カール大公と結婚します。しかし、幸せな時間は長くは続きませんでした。1849年、長女マリア・テレジアを出産した直後、夫フェルディナント・カールが急逝してしまいます。

再婚と皇室の思惑

1854年、エリーザベトは伯父カール大公の息子、カール・フェルディナント大公と再婚します。この結婚は、皇帝フランツ・ヨーゼフ1世の母であるゾフィー大公妃の強い意向によるものでした。ゾフィーは、若き皇帝がエリーザベトに惹かれていることに気づき、ハンガリー出身のエリーザベトが皇后になることを阻止しようとしたのです。当時、ハンガリーでは反政府暴動が頻発しており、ゾフィーはハンガリー人に対して強い嫌悪感を抱いていました。皇帝はエリーザベトの結婚のわずか6日後、ゾフィー大公妃の姪であるエリーザベト・イン・バイエルン（のちの皇妃エリーザベト、通称シシィ）と結婚しました。

幸福な家庭と子供たち

エリーザベトとカール・フェルディナントの夫婦仲は良好で、6人の子供をもうけました。そのうち4人が成人し、それぞれが重要な役割を担いました。1874年に2番目の夫にも先立たれたエリーザベトは、義兄であり従兄でもあるアルブレヒト大公の支援を受けながら、子供たちを育て上げます。長男のフリードリヒは、アルブレヒト大公の養子となり、帝室で最も裕福な分家であるテシェン公爵家の当主となりました。

社会貢献と音楽への愛

エリーザベトは、多くの社会福祉施設の支援者として熱心に活動しました。また、音楽を愛し、1882年頃にはヨハネス・ブラームスを自邸に招き、彼の率いる弦楽五重奏による演奏会を催したという記録も残っています。

死去

1903年2月14日、エリーザベトは長男フリードリヒが所有するウィーンのアルベルティーナ宮殿で、72歳でその生涯を閉じました。死因は肺炎の悪化と発表されています。

子女

最初の夫フェルディナント・カールとの間の子女：
マリア・テレジア・ヘンリエッタ・ドロテーア：バイエルン王ルートヴィヒ3世妃
2番目の夫カール・フェルディナントとの間の子女：
フランツ・ヨーゼフ
フリードリヒ・マリア・アルブレヒト・ヴィルヘルム・カール：テシェン公、陸軍元帥
マリア・クリスティーナ・デジレ・ヘンリエッテ・フェリーツィタス・ライネーリア：スペイン王アルフォンソ12世妃
カール・シュテファン・オイゲン・ヴィクトル・フェリックス・マリア：海軍提督
オイゲン・フェルディナント・ピウス・ベルンハルト・フェリックス・マリア：ドイツ騎士団総長
* マリア・エレオノーラ

エリーザベト・フランツィスカは、激動の時代を生き抜き、二つの王家を結びつけ、社会に貢献した女性でした。彼女の生涯は、ハプスブルク家の歴史において、重要な足跡を残しています。

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