オーストリア＝エステ家

エスターライヒ＝エステ家（オーストリア＝エステ家）

エスターライヒ＝エステ家、またはハプスブルク＝エステ家は、イタリアのモデナ公国を統治していたエステ家の血筋が途絶えた後、ハプスブルク＝ロートリンゲン家の分家がその名跡を受け継いだ家系です。

歴史

エステ家最後のモデナ公エルコレ3世は、1796年にフランス革命軍の侵攻によって領地を失い、モデナ公国はフランスの衛星国であるチザルピーナ共和国に併合されました。その後、ナポレオン1世の統治下にあるイタリア王国の一部となりました。亡命を余儀なくされたエルコレ3世は、補償として南ドイツのオーストリア領ブライスガウ公領を与えられました。

オーストリア側は、エルコレ3世の一人娘であるマリーア・ベアトリーチェを皇帝ヨーゼフ2世の弟フェルディナント大公と結婚させ、ブライスガウが再び一族の領地として戻ってくることを期待していました。1803年にエルコレ3世が亡くなると、ブライスガウは娘夫婦が相続しましたが、1805年には拡大を続けるバーデン大公国に併合されてしまいました。フェルディナントの死後、1814年にフランスによるイタリア支配が終わると、モデナはマリーア・ベアトリーチェとその次男であるフランチェスコ4世に返還されました。

この結婚によって創設されたモデナ家の女系分家であるアウストリア＝エステ家は、1814年から1859年までモデナおよびレッジョ公国を統治しました。アウストリア＝エステ家のモデナ公爵は、レッジョ、ミランドラ、マッサの公爵、カッラーラとルニジャーナの公の称号を帯び、1847年からはグアスタッラ公爵の称号も加えました。しかし、公国は統一イタリアによって独立を奪われ、最後のモデナ公フランチェスコ5世は退位を余儀なくされました。

フランチェスコ5世はオーストリアに逃れ、その生涯の大部分を同国で過ごしました。1840年以降、彼は母方の血統を通じてジャコバイトから正統なイングランドおよびスコットランドの王位継承者とみなされていました。1875年にフランチェスコ5世がウィーンで亡くなると、アウストリア＝エステ家の男系は途絶えました。彼の血統上の後継者は姪のマリア・テレジア大公女でしたが、彼女はバイエルン王ルートヴィヒ3世と結婚しました。そのため、ジャコバイト王位の請求権は、現在のバイエルン王家家長のバイエルン公フランツが保持しています。

フランチェスコ5世はエステ家の家名をハプスブルク＝ロートリンゲン家に保持させることを決めました。オーストリア皇帝フランツ・ヨーゼフ1世の弟カール・ルートヴィヒ大公の長男であるフランツ・フェルディナント大公が、アウストリア＝エステ家の家督と莫大な資産を相続しました。しかし、フランツ・フェルディナントはエルコレ3世の直系の子孫ではありませんでした（ただし、エルコレ3世の曾祖父フランチェスコ1世の女系子孫ではありました）。

フランツ・フェルディナント大公は1896年にオーストリア＝ハンガリー帝国皇帝位の推定相続人となりましたが、1914年6月28日にサラエボ事件で暗殺されました。彼の貴賤結婚のため、その子孫であるホーエンベルク公爵家は、エスターライヒ＝エステ家の家督を継ぐ資格はおろか、ハプスブルク＝ロートリンゲン家の正式な一員とすら認められませんでした。

そのため、ハプスブルク＝ロートリンゲン家は、フランツ・フェルディナントに代わって帝位継承者となったカール大公（皇帝カール1世）の次男で、1915年生まれのローベルトをオーストリア＝エステ家の相続人に指名しました。ローベルトの母ツィタは、サルデーニャ王妃マリーア・テレーザ（アウストリア＝エステ家の始祖フェルディナント大公とマリーア・ベアトリーチェ夫妻の長女）の玄孫にあたるため、ローベルトは偶然にもエスターライヒ＝エステの家名と、かつてのアウストリア＝エステ家との血統上の繋がりを復活させることになりました。

現在のオーストリア＝エステ家家長は、ローベルトの長男ローレンツです。ローレンツは1984年にベルギー王アルベール2世の長女アストリッドと結婚しました。1991年のベルギー王位継承法の改正により、アストリッドとその5人の子供たちはベルギー王位継承権を持つことになりました。アストリッドの夫であるローレンツもまた1995年にベルギー王子の称号を与えられました。

紋章

（紋章に関する記述は、提供された情報に基づいて省略します。）

関連項目

* フェラーラとモデナの君主一覧

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