エルケトゥ

エルケトゥ：モンゴルの首長竜

エルケトゥ (Erketu) は、前期白亜紀（セノマニアンからサントニアン）のモンゴルに生息していた竜脚類恐竜の属です。特に際立っているのは、その非常に長い首で、ティタノサウルス形類に属しています。

発見と命名

模式種であるエルケトゥ・エリソニ (Erketu ellisoni) は、2006年3月に自然史博物館の Ksepka とノレルによって記載されました。属名はモンゴルの創造神であるテングリ神の別名「エルケツ」に由来し、種小名はアメリカ自然史博物館の古生物アーティストであり、ノレルの友人でもあるグレッグ・エリソンに献名されました。

驚異的な首の長さ

エルケトゥの首は、胴体の2倍の長さと推定されており、これは体に対する首の比率において、既知の竜脚類の中で最長記録となる可能性があります。胴椎の化石が発見されていないため、正確な比率は不明ですが、後肢の骨格から胴体のおおよその大きさを推測することができます。この驚異的な首の長さは、個々の椎骨が大きく伸びた結果によるものです。ただし、頚椎の数が増加したかどうかは明らかになっていません。

形態的な特徴

エルケトゥの頚椎前部の神経棘は分岐しており、これは他のティタノサウルス類には見られない独特の特徴です。この特徴は、エルケトゥを他の竜脚類と区別する重要な要素となっています。

系統上の位置づけ

竜脚類の系統発生解析によると、エルケトゥは基盤的なティタノサウルス類であり、ティタノサウリアに最も近縁なグループに位置づけられています。これは、エルケトゥがティタノサウルス類の進化において重要な位置を占めていることを示唆しています。

まとめ

エルケトゥは、その際立って長い首と、頚椎の神経棘の分岐という独特の特徴を持つ、興味深い竜脚類恐竜です。モンゴルの白亜紀前期の地層から発見された化石は、竜脚類の進化と多様性を理解する上で貴重な情報を提供しています。

出典

Ksepka, D.T. & M.A. Norell, 2006. Erketu ellisoni, a long-necked sauropod from Bor Guvé (Dornogov Aimag, Mongolia). American Museum Novitates 3508: 1-16.

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