エルサレムのザカリアス

エルサレムのザカリアス（ギリシア語: Ζαχαρίας Ἱεροσολύμων、? - 631/632年）は、6世紀から7世紀にかけて活躍したキリスト教の聖職者であり、609年から632年までエルサレム総主教を務めました。正教会ではザハリヤと記されます。

総主教に就任する以前は、コンスタンティノポリスで修道士として生活していました。彼の総主教在位期間は、動乱と苦難に満ちた時代でした。東ローマ帝国の皇帝位を簒奪したフォカスの治世下では、エルサレム市内の治安が悪化し、党派間の対立が激化しました。このような状況下で、ザカリアスは教会の指導者として、困難な舵取りを迫られました。さらに、帝国と教会の関係も悪化し、彼の教会運営はより一層困難なものとなりました。

628年、ペルシア軍がエルサレムに侵攻した際、ザカリアスは捕縛されるという憂き目に遭いました。聖墳墓教会に保管されていた聖遺物である十字架も、ペルシア軍によって略奪され、持ち去られました。ザカリアスは捕囚の身となり、数年間をペルシアで過ごした後、631年にようやくエルサレムへ帰還を果たしました。

同時代の年代記者であるスタギオラスは、エルサレムの陥落とザカリアスの捕囚について、神の無力さを示すものではなく、エルサレム住民に対する神の怒りの表明であると解釈しました。そして、この出来事を古代イスラエルの民が経験したバビロン捕囚に譬え、神の裁きが下ったことを強調しました。

ザカリアスの生涯は、激動の時代における教会の苦難と、信仰を守り抜いた聖職者の姿を今に伝えるものです。

外部リンク:
Zacharias von Jerusalem

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