エルシド (競走馬)

エルシド：アングロアラブの至宝

エルシド(El Cid)は、フランスで生産されたアングロアラブ系の競走馬であり、種牡馬として日本競馬史にその名を刻んだ名馬です。フランスでの競走生活では輝かしい成績を残し、その後、日本へ輸入されてからも、多くの優秀な競走馬を輩出しました。その活躍は、アングロアラブ界に大きな影響を与え、今日でも語り継がれています。

輝かしい競走馬としてのキャリア

エルシドはフランスで生まれ育ち、同国のアングロアラブ競馬において4歳までに19戦11勝という素晴らしい成績を収めました。2着も5回、3着も1回と、常に上位入賞を果たす安定した走りを見せました。その勝利の中には、アングロアラブ・グランドナショナルやアラカド賞など、重要な重賞レースが含まれています。これらの実績は、エルシドの競走能力の高さを如実に示しています。

日本での種牡馬としての成功

競走馬を引退したエルシドは、日高軽種馬農業協同組合によって日本に輸入され、種牡馬としての新たな道を歩み始めました。その初年度産駒には、アラブ王冠を制覇したムツミマサルが誕生しました。そして2年目には、南関東公営競馬で活躍し、ライバル関係にあったタイムラインと競り合ったスカレーが生まれました。

エルシドの産駒は、その後も次々と活躍馬を輩出します。ホクトライデンやキンカイチフジなどの名馬たちが、中央競馬や地方競馬で数々の勝利を収めました。セイユウ、センジユ、タガミホマレといった、同時代の著名な種牡馬と比較すると、エルシドの産駒数は多くはありませんでしたが、それでも1976年には中央・地方アングロアラブリーディング5位、AEI1.85という優秀な成績を収めました。

1985年、エルシドは腎不全のため24歳でその生涯を終えました。その年まで、20頭の繁殖牝馬に交配しており、その最後の産駒からも、紫桐杯や兵庫大賞典など重賞9勝を挙げたビソウエルシドが誕生しました。

アングロアラブ界への貢献

エルシドは軽種馬農協繋養の種牡馬として、セリ市場上場義務を課せられていました。テスコボーイとともに、セリ市場の発展に大きく貢献したとされています。その功績を称え、日高軽種馬農業協同組合にはエルシドの銅像が建立されています。

さらに、エルシドの父系は、スカレーとイナリトウザイの子であるキタノトウザイが種牡馬として大成功を収めたのをはじめ、大いに繁栄しました。数多くの優れた競走馬を生み出し、日本のアングロアラブ界に大きな足跡を残しました。

主要な産駒

エルシドの産駒は、中央競馬や地方競馬で活躍した多くの名馬を輩出しました。その中には、ムツミマサル、スカレー、ホクトライデン、キンカイチフジなど、アラブ王冠や全日本アラブ大賞典などの重賞レースを制覇した馬たちが含まれています。これ以外にも、多くの競走馬が中央・地方競馬で活躍し、エルシドの血統の強さを証明しています。

血統

エルシドの父系はTeddy系に属し、その母Faridaは14勝という輝かしい戦績を残しています。さらに、半兄弟のサルタモンテスやゴアツエンも日本に輸入され、種牡馬として活躍しました。エルシドの血統背景には、優れた競走能力と種牡馬としての素質が受け継がれていたと言えるでしょう。

エルシドは、競走馬としての成功と、数々の名馬を輩出した種牡馬としての成功を収め、日本のアングロアラブの歴史に大きな貢献をした偉大な馬です。その功績は、永遠に記憶されるべきでしょう。

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