エルマンノ・オルミ

エルマンノ・オルミ：イタリア映画界の巨匠

1931年、イタリア北部ロンバルディア州で生まれたエルマンノ・オルミは、イタリアを代表する映画監督の一人です。ドキュメンタリーから長編劇映画まで幅広く手がけ、国際的な評価を獲得しました。86歳でその生涯を閉じましたが、彼の作品は今もなお、人々の心に深く刻まれています。

映画監督としてのキャリア

オルミは1953年、22歳の若さで映画監督としてデビュー。初期はドキュメンタリーや短編映画を精力的に制作し、5年間で20本以上の作品を世に送り出しました。1959年には初の長編映画『Il tempo si è fermato』を発表し、本格的な映画監督としてのキャリアをスタートさせます。

1961年には長編第2作『定職』がヴェネツィア国際[[映画祭]]で3つの賞を受賞。続く『婚約者たち』(1963年)はカンヌ国際[[映画祭]]に出品され、国際カトリック映画事務局賞を獲得、さらにフランスの著名な映画批評家ジャン＝リュック・ゴダールからも高く評価されました。その後も『E venne un uomo』(1965年)など、宗教的なテーマや社会問題を扱う作品を発表し続けました。

代表作『木靴の樹』

1978年、オルミは代表作となる『木靴の樹』を発表します。ベルガモ地方の農民の生活を描いたこの作品は、第31回カンヌ国際[[映画祭]]で最高賞であるパルム・ドールとエキュメニカル審査員賞を受賞。フランスのセザール賞、イタリアのナストロ・ダルジェント賞など、数々の賞に輝き、日本でも高い評価を得ました。

晩年の活躍と受賞

1980年代以降もオルミは精力的に作品を発表。『偽りの晩餐』(1987年)でヴェネツィア国際[[映画祭]]銀獅子賞、『聖なる酔っぱらいの伝説』(1988年)で同映画祭金獅子賞を受賞するなど、輝かしい受賞歴を重ねました。2000年代には『ジョヴァンニ』(2001年)でカンヌ国際[[映画祭]]に出品、また日本人の市川純を主演に迎えた『屏風の陰で歌いながら』(2003年)を制作するなど、国際的な視野を持ち続けました。

2008年にはヴェネツィア国際[[映画祭]]で長年の功績を称えられ、栄誉[[金獅子賞]]を受賞。晩年も『楽園からの旅人』(2011年)、『緑はよみがえる』(2014年)など、精力的に映画製作を続けました。

死後も色褪せない輝き

近年はギラン・バレー症候群に罹患し、闘病生活を送っていたオルミは、2018年5月7日に86歳で亡くなりました。彼の死はイタリア映画界に大きな悲しみをもたらしましたが、彼の残した作品群は、これからも多くの人々に感動を与え続けるでしょう。息子であるファビオ・オルミも撮影監督として父の多くの作品に参加しており、その才能は受け継がれています。オルミの映画は、イタリアの地方文化や人々の生活、宗教や社会問題など、多様なテーマを繊細な視点で描き、普遍的な人間の感情を深くえぐっています。その高い芸術性と人間性から、彼の作品は時代を超えて愛され続けているのです。

主なフィルモグラフィー

『定職』(1961年)
『婚約者たち』(1963年)
『木靴の樹』(1978年)
『偽りの晩餐』(1987年)
『聖なる酔っぱらいの伝説』(1988年)
『ジョヴァンニ』(2001年)
『屏風の陰で歌いながら』(2003年)
『楽園からの旅人』(2011年)
* 『緑はよみがえる』(2014年)

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