エルンスト・エピック

エルンスト・ユリウス・エピック

エルンスト・ユリウス・エピック（Ernst Julius Öpik, 1893年10月23日 – 1985年9月10日）は、エストニアに生まれ、後に北アイルランドで活動した天文学者です。彼の研究は主に小惑星や彗星、流星などの小天体に焦点を当てており、その業績は現代天文学に大きな影響を与えました。名字は「オピック」とも表記されることがあります。

人物背景

エピックは、エストニアのレーネ＝ヴィル県クンダで生まれました。彼はタリンの高校を卒業後、モスクワの大学で学びました。学問の道を歩んだ後、1916年にはタシュケントの天文学部の学部長に就任しました。その後、1921年からはエストニアのタルトゥにある天文台で研究を進めましたが、1930年から1934年まではハーバード大学天文台に滞在していました。

エストニアがソビエトに占領されると、エピックはドイツのハンブルクに逃れ、最終的には北アイルランドのアーマーに移住し、アーマー天文台でそのキャリアの後半を過ごしました。1950年から1981年まで同天文台の所長として勤務しました。また、1956年からはメリーランド大学で客員教授としても教鞭を取るなど、彼の学問的活動は広範囲に及びました。1985年、彼は北アイルランドのバンゴールでその生涯を閉じました。

研究と業績

エピックは多岐にわたる研究を行い、小惑星、彗星、流星、さらには惑星大気に関する重要な業績を残しています。彼の主な功績の一つは、1915年に白色矮星の密度の計算を行ったことです。また、1932年には彗星の成因についての理論を発表し、彗星が冥王星軌道の外に位置するオールトの雲に起源を持つことを示しました。

さらに、エピックはヤルコフスキー効果の再発見や、月面のクレーター数を元に地球への隕石衝突の頻度を推定する研究も行いました。彼は火星のクレーターの数を探査機によるミッションが行われる前に算出するなど、その鋭い観察力と分析力を示しました。

受賞歴

エピックの業績に対する評価は高く、多くの賞を受賞しています。その中でもブルース・メダル（1975年）、イギリス王立天文学会ゴールドメダル（1976年）など、天文学界での彼の貢献が称えられました。

名称の由来

エピックに関連する名称も多数存在し、小惑星の一つには「(2099) エピック」と名付けられています。また、火星の衛星フォボスにはエピッククレーターが存在します。エピックの業績は天文学の世界において非常に重要な位置にあり、彼の名は多くの学者や学生によって語り継がれています。

家族と関連

エピックの家族にも彼の遺志を受け継ぐ人物がいます。孫のレンビット・オピックは自由民主党所属の国会議員として活動し、イギリスにおけるスペースガード推進に貢献しています。エピックの業績は、彼の家族を通じても生き続けています。

結論

エルンスト・ユリウス・エピックは、エストニアから世界に影響を与えた天文学者であり、彼の研究は今も多くの人々にインスピレーションを与えています。彼の業績は、小天体の研究のみならず、天文学の様々な分野での理解を深めるための基礎として重要な位置を占めているのです。

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