スペースガード

スペースガードとは

スペースガード（Space Guard）は、地球に衝突する可能性のある地球近傍天体（NEO）を発見・観測し、その衝突に関する研究を行う国際的なプロジェクトです。この名称は、アーサー・C・クラークのSF小説『宇宙のランデヴー』に登場する同名の計画に由来しています。

プラネタリーディフェンスとの関係

2000年頃から、スペースガードはプラネタリーディフェンス（Planetary Defense）という名称でも呼ばれるようになり、両者は基本的に同じ意味で使用されています。

組織と国際協力

スペースガード計画の中核を担うのは、イタリアのフラスカーティに本部を置くNPO、スペースガード財団です。1994年に木星への天体衝突が観測されたことをきっかけに、地球にも同様の危険があるとの認識が高まり、1996年に国際[[天文学連合]]の提言を受けて設立されました。

スペースガード財団の協力のもと、スペースガード計画は世界各国で実施されています。日本、アメリカ、オーストラリア、フィンランド、イギリス、ドイツ、イタリアの7カ国が協力して観測を行い、各国のスペースガードセンターでは、中央天文台や宇宙開発機関の支援を受けながら観測所を運営しています。

日本の取り組み

日本では、宇宙航空研究開発機構（JAXA）などの支援を受けた日本スペースガード協会が観測を行っています。NEOの観測に加え、宇宙空間を漂うスペースデブリの監視（宇宙状況認識）も重要な活動です。

岡山県には、美星スペースガードセンター（光学観測）と上斎原スペースガードセンター（レーダー観測）が設置されています。光学観測では、主に地球近傍に接近する小惑星や彗星の軌道を特定するため、広視野角を持つ複数の望遠鏡を用いて観測を実施しています。レーダー観測では、フェーズドアレイレーダー技術を用いた観測装置により、スペースデブリの位置を特定しています。

小惑星の軌道変更実験

NASAは2022年に、二重小惑星ディディモス・ディモルフォスの衛星であるディモルフォスに、探査機DARTを秒速約6kmで衝突させる実験に成功しました。この実験により、ディモルフォスの公転周期が約12時間から約30分短縮されるという影響が確認されました。これは、将来的に小惑星の軌道を変更する技術開発における重要な一歩となります。

過去の天体衝突と隕石飛来

過去には、地球に天体が衝突し、生物の大量絶滅を引き起こした事例も確認されています。例えば、約6600万年前のK-Pg境界では、恐竜を含む多くの生物が絶滅しました。これらの過去の出来事は、スペースガード計画の重要性を物語っています。

関連情報

スペースガード計画やNEOに関する情報は、以下の関連機関やサイトで確認することができます。

スペースガード財団：Spaceguard Central Node
日本スペースガード協会：日本スペースガード協会

関連項目

観測プログラム・観測所・設備・衛星
美星スペースガードセンター（BSGC）
リンカーン地球近傍小惑星探査（LINEAR）
パンスターズ（Pan-STARRS）
地球近傍小惑星追跡（NEAT）
スペースウォッチ
カタリナ・スカイサーベイ
NEOWISE（広視野赤外線探査機）
小惑星
彗星
B612財団
潜在的に危険な小惑星
宇宙状況認識
K-Pg境界
* イヴァンのハンマー

もう一度検索