エルンスト・オップラー

エルンスト・オップラー（Ernst Oppler, 1867年9月9日 - 1929年3月1日）は、ドイツの画家であり、版画家としてもその名を残しています。ハノーファーで生まれ、著名な建築家であるエドウィン・オップラーを父に持ち、彫刻家のアレキサンダー・オップラー、医師のベルトホルト・オップラーを弟に持つ芸術一家で育ちました。

1886年、オップラーはミュンヘンに移り、ミュンヘン美術院でニコラオス・ギジスやルートヴィヒ・フォン・レフツといった名だたる画家たちに師事しました。さらに、ハインリヒ・クニルの私立美術学校でも研鑽を積み、1892年にはその才能が認められ、作品がバイエルン王国の王子に買い上げられるという栄誉に浴しました。また、同年にはシカゴ万国博覧会にも作品を出展し、国際的な舞台にもその足跡を残しました。

1894年にはロンドンへと渡り、1897年まで滞在。この地で、独自のスタイルを確立していたジェームズ・マクニール・ホイッスラーの作品を版画にするなど、深く影響を受けました。1898年、ホイッスラーが設立した「国際彫刻家、画家、版画家協会」の会員となり、初期の作品は自然主義的なスタイルが特徴でした。その後、1895年にミュンヘン分離派、そしてベルリン分離派にも参加し、1895年からはヴェネツィアの展示会にも作品を出展しました。1901年には、ミュンヘンで開催された国際展にも参加しています。

ミュンヘンに戻ったオップラーは、風景画に新たな興味を抱き、1901年にオランダのスロイスへと移り住み、しばらくの間、風景画の制作に没頭しました。その後、フランスのノルマンディー地方の港町、ディエップやベルギーを訪れ、各地の風景をその目に焼き付け、作品に反映させました。1904年初めには、ブリュッセルで開催された印象派画家の展覧会にも作品を出展しました。同年、「新印象派」の画家、パウル・バウムの誘いを受け、ベルリンに移住。「ベルリン分離派」の重要なメンバーとして活躍し、展覧会にも積極的に参加しました。しかし、ベルリン分離派内部で「表現主義」の画家たちとの意見の相違が顕著になり、分裂後は分離派の展覧会への参加を取りやめました。第一次世界大戦が勃発すると、オップラーは召集され戦場に赴き、戦後は戦争に関する作品も制作しています。

また、バレエなどの舞台芸術を題材にした作品も多く手がけており、舞踏家で後に映画監督となるレニ・リーフェンシュタールとも親交を深め、彼女の肖像画も残しました。彼の作品は、自然主義から印象派、そして表現主義へと変化を遂げ、その幅広い表現力は、今日の美術史においても高く評価されています。1929年、ベルリンでその生涯を閉じました。

オップラーの作品は、彼の人生と芸術的探求を映し出す鏡であり、後世に多大な影響を与え続けています。彼は、時代の変遷とともに多様な画風に挑戦し、独自の視点で世界を描き続けた偉大な芸術家の一人です。

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