エルンスト・ルドルフ・フォン・トラウトフェッター

エルンスト・ルドルフ・フォン・トラウトフェッター（Ernst Rudolf von Trautvetter、1809年2月8日 - 1889年1月12日）は、バルト・ドイツ人の植物学者として知られています。彼は、特にコーカサス地方や中央アジアの植物に関する研究で大きな功績を残しました。

生い立ちと教育

現在のラトビアのイェルガヴァで生まれたトラウトフェッターは、父親がザクセン王国の枢密顧問官であり、サンクトペテルブルクで外交官を務めたという、恵まれた環境に育ちました。彼はドルパト大学（現在のタルトゥ大学）で医学と自然科学を学び、1829年から1831年にかけて植物調査旅行に参加しました。この経験が、彼の植物学者としての道を決定づけたと言えるでしょう。

研究とキャリア

1831年にイェルガヴァに戻ったトラウトフェッターは、個人教授として教鞭を執りました。その後、1833年からはドルパトの植物園で助手として働き、2年後にはサンクトペテルブルクに移り、同地の植物園で研究に従事しました。1838年には、キエフ大学の植物学教授および植物園長に任命され、その才能を開花させました。1847年から1859年までの間は、キエフ大学の学長を務め、大学の発展に貢献しました。その後、サンクトペテルブルク植物園に戻り、植物園の歴史に関する書籍を執筆するなど、研究活動を続けました。

業績

トラウトフェッターの業績は、植物学の世界に深く刻まれています。キンポウゲ科の属名であるTrautvetteria Fisch. & C.A.Mey.や、コーカサスなどに自生するカエデ科の種であるAcer trautvetteriは、彼の名にちなんで献名されたものです。これは、彼の研究が植物学界に与えた影響の大きさを物語っています。

著作

トラウトフェッターは、数多くの著作も残しています。

Ueber die Nebenblätter: Eine naturwissenschaftliche Abhandlung, 1831
Grundriss einer Geschichte der Botankik in bezug auf Russland, 1837
Plantarum imagines et descriptiones floram russicam illustrantes, 1844
Die pflanzengeographischen Verhältnisse des Europäischen Russlands, 1850
Ueber Die Geographische Der Herniaria-Arten in Russland, 1865
Plantas Caspio-Caucasicas, a Dre. G. Radde et A. Becker anno 1876, (1877)
Plantas Sibiriae borealis ab A. Czekanowski et F. Mueller, annis 1874 et 1875 lectas, (1877)
Flora riparia Kolymensis, 1878

これらの著作は、彼の研究成果を後世に伝える貴重な資料となっています。

エルンスト・ルドルフ・フォン・トラウトフェッターは、バルト・ドイツが生んだ偉大な植物学者として、その名を永く植物学の歴史に刻まれることでしょう。

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