カエデ科

カエデ科は、かつては独立した科として認識されていた双子葉植物のグループで、主に温帯地域に分布する落葉性の木本植物です。この科には、およそ150種が存在し、その大部分がカエデ属（Acer）に分類されます。その他に、中国原産のキンセンセキ属（Dipteronia）という2種のみを含む小さな属も含まれます。

しかし、現行のAPG植物分類体系においては、カエデ科は独立した科としては認められておらず、ムクロジ科（Sapindaceae）の中の、カエデ連（Acereae）というグループに含められることになりました。これは、近年の分子系統学的研究により、カエデ科とムクロジ科との間に密接な系統関係があることが明らかになったためです。

カエデ科（またはカエデ連）の植物は、その特徴的な果実によって容易に見分けることができます。果実は、2つに分かれており、それぞれに1つずつ種子を含んでいます。特にカエデ属の果実は、大きな翼を持っているのが特徴的で、風に乗って種子を遠くまで散布するのに役立っています。キンセンセキ属の果実も、周囲に小さい翼を持っていますが、カエデ属ほど大きくはありません。

葉は対生し、単葉（掌状のものが多く見られます）または羽状複葉です。葉の形状は、カエデ属の植物を識別する上で重要な要素となります。カエデの葉は、その美しい形状から、観賞用としても広く利用されています。

カエデ属は、温帯から熱帯にかけて広い範囲に分布していますが、キンセンセキ属は暑さに弱く、原産地の中国でも海抜1000～2000メートルの山中にしか生息していません。この属の植物は、比較的高地に分布しているため、野生状態での観察はやや困難です。

カエデ科（またはカエデ連）の植物は、その多様な形状や生態、そして美しい紅葉などから、人々に親しまれている植物です。特にカエデ属の植物は、園芸品種としても多くの品種が作り出され、庭園や公園などで広く栽培されています。これらの植物は、私たちの身近な自然環境を豊かに彩る重要な要素となっています。

補足

カエデ属（Acer）： カエデ科の大部分を占める属で、世界中に広く分布しています。葉の形状や果実の翼の形状など、多様な特徴を持っています。
*キンセンセキ属（Dipteronia）： 中国原産の2種のみを含む小さな属です。暑さに弱く、高地に生息しています。
ムクロジ科（Sapindaceae）： カエデ科を含む大きな科で、様々な植物が含まれています。カエデ科は、この科の一員として分類されています。
APG植物分類体系： 植物の分類における国際的な標準であり、分子系統学的研究の結果に基づいています。

外部リンク

カエデ科（画像）：フラボン

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