エル・キャピタン (ヨセミテ)

エル・キャピタン

エル・キャピタン（英: El Capitan）は、アメリカ・カリフォルニア州マリポサ郡に位置する、ヨセミテ国立公園内の立派な花崗岩の一枚岩です。北側のヨセミテ渓谷にそびえ立ち、谷の底からの高さは約1,000メートルに達し、世界最大の花崗岩モノリスとして知られています。この驚異的な岩は、特にロッククライミングのメッカとして多くの登山者に親しまれています。

特徴

エル・キャピタンは、その壮大さから多くのクライミングルートが設けられており、特に南西壁と南東壁に多くの登攀ルートがあります。クライマーたちは、春から秋にかけてこの岩を訪れ、様々な技術を持つ人々が登頂に挑戦します。クライミングの最短記録は約2時間で、一方で長い場合は200日かかることもありますが、一般的には4日から6日程度で登ることが多いです。エル・キャピタンの標高は比較的低く、理想的な気候条件が整っているため、世界中の難しい山を登るための訓練の場として非常に人気があります。

歴史

エル・キャピタンという名称は、1851年にマリポサ歩兵大隊によって名付けられました。それ以前、ネイティブ・アメリカンによって“To-to-kon oo-lah”と呼ばれており、これは昔の族長の名前に由来しています。「エル・キャピタン」はスペイン語で「岩の族長」という意味で、この名前が与えられた背景も興味深いものです。1950年代後半からはロッククライミングが盛んに行われ始め、1958年にはウォレン・ハーディングらによってノーズルートの初登頂が果たされました。

クライミングルート

現在、エル・キャピタンには70を超えるクライミングルートが整備されています。ロッククライミングのスピードクライミングも注目されており、1975年にはジム・ブリッドウェルらが「ノーズ」を17時間45分で登り、24時間以内の記録を樹立しました。その後も数多くの記録更新が行われ、2018年にはアレックス・オノルドとトミー・コールドウェルによって、ノーズを1時間58分7秒で登るという驚異的な成果が収められました。

フリークライミング

また、2018年にはアレックス・オノルドがフリークライミングによって命綱と安全装置を使わずにエル・キャピタンを登頂しました。このスリリングなスタイルは、多くのロッククライマーにとって憧れでもあります。

事故と注意

エル・キャピタンは美しい自然景観を提供する一方で、危険も伴います。2017年には、高さ約200メートルの地点で岩が崩落し、ふもとにいた人々に悲劇が起きました。このような事故は年に80件ほど発生しており、訪れる際には十分な注意が必要です。

関連項目

エル・キャピタンを訪れる際には、周辺のハーフドームや冬季に現れるホーステール滝などもぜひ見逃さないでください。また、この山の名前を冠したAppleのオペレーティングシステム「OS X El Capitan」も存在します。

このようにエル・キャピタンは、自然の偉大さやクライミングの挑戦を体験するための地として、世界中の人々に愛されています。

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