エレガンス・シック

エレガンス・シック



『エレガンス・シック』(原題:C'est Chic)は、アメリカ合衆国の音楽グループ、シックが1978年に世に送り出した、彼らにとって2枚目のスタジオ録音アルバムです。

制作背景



本作の制作にあたり、シックはボーカル体制に大きな変化を迎えました。デビューアルバムでリードボーカルを務めたノーマ・ジーン・ライトは、彼女のソロキャリアを巡るマネージメント上の問題から、シックでの活動継続が困難となりました。このため、彼女の推薦もあって、新たにルーシー・マーティンとアルファ・アンダーソンの二人がメインボーカリストとしてグループに加わり、本作以降のシックのサウンドを支えることになります。

興味深いことに、『エレガンス・シック』のレコーディングは、同時期にバーナード・エドワーズとナイル・ロジャースがプロデューサーとして深く関与していた、シスター・スレッジの傑作アルバム『We Are Family』の制作と並行して進行しました。アルバムに収録されている「愛してほしい」は、当初シスター・スレッジのために書き下ろされた楽曲でしたが、最終的にはシック自身によって録音され、本作に収められました。

反響と評価



『エレガンス・シック』は、商業的、批評的に共に大きな成功を収めました。アメリカ国内では、主要な総合アルバムチャートであるBillboard 200において、1978年12月23日付のチャートで最高位となる4位を記録しました。さらに、『ビルボード』誌のR&Bアルバムチャートでは見事1位を獲得し、R&Bシーンでの盤石な地位を確立しました。

海を越えたイギリスでも、シックにとって初めて全英アルバムチャート入りを果たし、最高2位という素晴らしい成績を残しました。

音楽評論家からの評価も非常に高く、オールミュージックの評論家Jason Birchmeierは本作に5点満点中4.5点を与え、その完成度を称賛しました。彼はレビューの中で、「ディスコの熱狂が最高潮に達していた時代において、その華麗さと豊かさの全てを体現している」と本作がディスコ文化の象徴であることを指摘しました。さらに、「シックは後に「Good Times」でより一層の成功を収めることになるが、バーナード・エドワーズとナイル・ロジャースが、『エレガンス・シック』ほど完璧に計算され尽くしたアルバムを再び作り出すことはなかった」と述べ、本作が彼らのキャリアにおける頂点の一つであることを示唆しています。

収録曲



本作に収録された楽曲は全て、バーナード・エドワーズとナイル・ロジャースの共同作業によって生み出されました。収録曲のうち、「Savoir Faire」と「(Funny) Bone」はインストゥルメンタル楽曲です。

1. 陽気な仲間 - "Chic Cheer" - 4:43
2. おしゃれフリーク - "Le Freak" - 5:25
3. 愛のかけひき - "Savoir Faire" - 5:03 (Instrumental)
4. ハッピー・マン - "Happy Man" - 4:20
5. 愛してほしい - "I Want Your Love" - 6:50
6. 僕は自由 - "At Last I Am Free" - 7:11
7. 愛の勝利 - "Sometimes You Win" - 4:28
8. ファニー・ボーン - "(Funny) Bone" - 3:42 (Instrumental)

参加ミュージシャン



本作のサウンドを彩った主な参加ミュージシャンは以下の通りです。

バーナード・エドワーズ - ベース、ボーカル
ナイル・ロジャース - ギター
トニー・トンプソン - ドラムス
ルーシー・マーティン - ボーカル
アルファ・アンダーソン - ボーカル
ルーサー・ヴァンドロス - スペシャル・ゲスト・ボーカル
ディーヴァ・グレイ - ボーカル
デヴィッド・ラズリー - ボーカル
ロバート・サビーノ - クラビネットピアノエレクトリックピアノ
アンディ・シュワルツ - クラビネットピアノエレクトリックピアノ (on #6)
レイモンド・ジョーンズ - ローズ・ピアノ
サミー・フィゲロア - パーカッション
ホセ・ロッシー - チューブラーベル
ジーン・オーロフ - コンサートマスター
マリアンヌ・キャロル、シェリル・ホン、カレン・ミルン - ストリングス
ジョン・ファディス、エレン・シーリング - トランペット
アレックス・フォスター、ジーン・ファインバーグ - サクソフォーン
バリー・ロジャース - トロンボーン

『エレガンス・シック』は、シックの洗練されたディスコ・サウンドを確立した記念碑的な作品であり、彼らのキャリアにおいてだけでなく、ディスコ音楽史全体においても重要な位置を占めるアルバムとして高く評価されています。

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