エレクトロクロミズム

エレクトロクロミズムとは

エレクトロクロミズム（electrochromism）は、特定の化学物質に電圧を加えることで、その光学的性質が可逆的に変化する現象を指します。この現象を示す物質は、エレクトロクロミック物質と呼ばれます。

エレクトロクロミック物質の例

代表的なエレクトロクロミック物質としては、以下のものがあります。

ポリアニリン: アニリンを電気化学的または化学的に酸化することで合成される高分子です。電極を低濃度のアニリンを含む塩酸溶液に浸すと、電極上にポリアニリンの薄膜が形成されます。ポリアニリンは、酸化還元状態に応じて薄黄色または暗緑色/黒色へと色を変化させます。
ビオロゲン: 有機化合物の一種で、酸化還元反応によって色が変わります。自動車の防眩ミラーや航空機の電子カーテンなど、実用化されている例もあります。
ポリオキソタングステート: タングステン酸イオンが複数結合した構造を持つ化合物群です。
酸化タングステン(VI): エレクトロクロミックウィンドウやスマートウィンドウの製造に利用されています。

エレクトロクロミズムの応用

エレクトロクロミズムは、以下のような分野で応用されています。

スマートウィンドウ: 建物の窓ガラスにエレクトロクロミック材料を使用することで、太陽光の透過率を調整し、室内の温度を快適に保つことができます。これにより、冷暖房のエネルギー消費を削減することが可能です。
防眩ミラー: 自動車のバックミラーにエレクトロクロミック材料を使用することで、後続車のヘッドライトの眩しさを軽減することができます。
電子ペーパー: エレクトロクロミック材料をディスプレイに応用することで、低消費電力で表示内容を書き換えることができる電子ペーパーを実現できます。
電子カーテン: 航空機や鉄道車両の窓にエレクトロクロミック材料を使用することで、電気的に透過率を制御できるカーテンとして利用できます。

関連事項

* クロミズム: 光や熱などの外部刺激によって物質の色が変化する現象の総称。

エレクトロクロミズムは、省エネルギー化や快適性の向上に貢献する技術として、今後の発展が期待されています。

もう一度検索