エレメンツ・パート1

ストラトヴァリウス『エレメンツ・パート1』：心理と要素が織りなす壮大なシンフォニー

フィンランドのメロディックパワーメタルバンド、ストラトヴァリウスが2003年に発表した9枚目のスタジオアルバム『エレメンツ・パート1』は、前作『インフィニット』から約3年の時を経てリリースされました。

制作背景

『インフィニット』の成功後、バンドは一時活動を休止し、ティモ・トルキとティモ・コティペルトはそれぞれソロアルバムを発表。その後、トルキは短期間で25曲を作曲し、当初は2枚組アルバムを構想していました。しかし、レコード会社の意向により、アルバムは地球を構成する要素をテーマに分割。「火と水」をテーマにした本作と、「土と風」をテーマにした『エレメンツ・パート2』として発表されました。

楽曲の特徴

1曲目の「イーグルハート」はトルキ作曲、コティペルト作詞による楽曲で、その他はすべてトルキが作詞・作曲を手掛けています。トルキが以前から興味を持っていた心理学や、サイコテラピーのカウンセリングを通して感じた人生観や死生観が歌詞に色濃く反映されており、シンフォニックな要素を取り入れた壮大な楽曲が多くを占めているのが特徴です。4曲目の「ファンタジア」は、映画『ネバーエンディング・ストーリー』に登場する空想の国ファンタージェンをテーマにした楽曲となっています。

収録曲について

アルバムには、以下のような楽曲が収録されています。

1. イーグルハート (Eagleheart)
2. ソウル・オブ・ヴァガボンド (Soul of a Vagabond)
3. ファインド・ユア・オウン・ヴォイス (Find Your Own Voice)
4. ファンタジア (Fantasia)
5. ラーニング・トゥ・フライ (Learning to Fly)
6. パピヨン (Papillon)
7. ストラトフォートレス (Stratofortress) - Instrumental
8. エレメンツ (Elements)
9. ア・ドロップ・イン・ジ・オーシャン (A Drop in the Ocean)

ボーナストラックとして、フランス語バージョンの「パピヨン」や、日本版には「Into Deep Blue」が収録されています。また、オンラインショップ『Stratoshop』限定で、デモ音源やB面曲を含む2枚組ボーナストラックが提供されました。

参加ミュージシャン

ティモ・コティペルト - Vocals
ティモ・トルキ - Guitar
ヤリ・カイヌライネン - Bass
イェンス・ヨハンソン - Keyboards
* ヨルグ・マイケル - Drums

『エレメンツ・パート1』は、ストラトヴァリウスの音楽性をさらに深化させ、聴く者を壮大な世界へと誘う意欲作と言えるでしょう。トルキの心理的な探求が、音楽に深みと奥行きを与え、単なるメロディックパワーメタルに留まらない、芸術的な作品として昇華されています。

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