エロティカ (アルバム)

『エロティカ』（Erotica）は、1992年にマドンナによってリリースされた5枚目のスタジオ・アルバムです。彼女が設立したマーヴェリック・レコードからの最初の作品として発表されました。

概要

このアルバムは、シングル「ジャスティファイ・マイ・ラヴ」や写真集『SEX』など、マドンナの過激な表現路線の延長線上にある作品と捉えられがちですが、エイズで亡くなった友人について歌った「イン・ディス・ライフ」など、内省的な作風も色濃く反映されています。サウンド面では、大ヒット曲「ヴォーグ」を手がけたシェップ・ペティボーンによるハウスミュージックが中心となっています。

日本においては、日本ゴールドディスク大賞アルバム賞を受賞し、同年にはアーティスト・オブ・ザ・イヤー（洋楽部門）にも輝きました。翌1993年には、ワールドツアー『ザ・ガーリー・ショー・ツアー』を開催し、12月の来日公演で千秋楽を迎えました。

制作背景

当初、シェップ・ペティボーンが制作した楽曲群（彼曰く「『ロサンゼルスっぽい雰囲気』の軽くてキラキラした曲調」）に対し、マドンナは満足せず、「こういうアルバムにしたいなら、（以前の2作で共同作業した）パトリック・レナードに頼んでいるわ」と語ったとされています。この言葉を受け、ペティボーンはマドンナが生々しいエッジの効いたサウンドを求めていると理解したと言います。

サラ・ヴォーンなども歌ったスタンダード・ナンバー「フィーヴァー」は、元々収録予定だった楽曲「Goodbye to Innocence」のレコーディング中に、バックトラックに合わせてマドンナが歌ってみたところ、本人が非常に気に入り、「Goodbye to Innocence」をアルバムから外し、「フィーヴァー」を収録することになったという経緯があります。「Goodbye to Innocence」はその後、サイアー・レコードのコンピレーション・アルバム『Just Say Roe』に収録されました。

チャート成績

アメリカのBillboard 200では、最高位2位を記録し、53週に渡ってチャートインしました。全英アルバムチャートでも最高位2位を獲得し、39週チャートインしています。

日本のオリコンチャートでは、最高位5位を記録し、23週に渡ってチャートイン。マドンナ自身のアルバム売上ランキングでは3位にランクインしました。

『エロティカ』は、マドンナのキャリアの中でも特に実験的で、多様な側面を見せる作品として、今日でも高く評価されています。彼女の音楽的な探求心と、時代の空気を反映したメッセージが込められた、重要なアルバムと言えるでしょう。

もう一度検索