エンカウンターグループ

エンカウンター・グループ

エンカウンター・グループ（Encounter group）とは、主に人間関係のスキル向上や心理的な成長を狙った小規模で集中したグループ体験のことを指します。この概念は主に1960年代のアメリカにおけるヒューマンポテンシャル運動から発展しました。特に、カール・ロジャースが提唱したベーシック・エンカウンター・グループが有名です。

概要

アメリカと日本では、エンカウンター・グループの意味がやや異なっています。アメリカではヒューマンポテンシャル運動全体やスモール・インテンシブ・グループ、さらにベーシック・エンカウンター・グループが含まれます。一方、日本では主にベーシック・エンカウンター・グループと構成的エンカウンター・グループが指されます。

ヒューマンポテンシャル運動

ヒューマンポテンシャル運動は、人間の内面的な成長や可能性を追求するための多様なアプローチを含みます。特に、Tグループや感受性訓練などがその一環です。1940年代のクルト・レヴィンの活動がその先駆けとされ、やがてフレデリック・パールズのゲシュタルト療法やカール・ロジャースの考えに影響されながら現代の形が確立されました。

ベーシック・エンカウンター・グループ

ベーシック・エンカウンター・グループは、カール・ロジャースが1940年代後半に開発したもので、非構造的なカウンセリングセッションの一種です。このグループでは通常、1～2名のファシリテーターと10～15名の参加者が集まり、数時間から数泊のセッションが行われます。参加者は自らの意見や感情を自由に表現し、互いの関係を深めることが目的です。

構成的エンカウンター・グループ

これに対して構成的エンカウンター・グループは、あらかじめ設定されたフレームに沿って進行されるものです。ファシリテーターが主導権を持って進行するため、参加者はあらかじめ具体的な課題に取り組むことになります。この形式はアメリカのカウンセリングワークショップの影響を受けて発展しました。

日本において構成的エンカウンター・グループは、1970年代後半に導入され、教育現場での応用が進められてきました。特に筑波大学での活動は成果を挙げており、教育技法として広く知られるようになりました。

宗教的利用とその影響

エンカウンター・グループは、ヒューマンポテンシャル運動の一環として感情的・社会的変容を提供することが目的でしたが、後に宗教的活動にも利用されるようになりました。特に、新宗教運動のオショー＝ラジニーシ運動では、エンカウンターグループが重要な役割を果たしました。この運動では、参加者が精神的な悟りや変容を求め、多くのセラピーが行われましたが、その過程で肉体的な体験やグループ内の親密な関係が強調されることもありました。

このように、エンカウンター・グループは日本とアメリカで異なる発展を遂げ、多様な目的や形式で実施され続けています。心理的成長を求める人々にとって、今後も重要な体験の場となるでしょう。

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