エンジェルズ・アンド・エアウェーブズ

エンジェルズ・アンド・エアウェーブズ

エンジェルズ・アンド・エアウェーブズ（Angels & Airwaves）は、2005年にアメリカ合衆国カリフォルニア州サンディエゴで産声を上げたオルタナティヴ・ロックバンドです。ポップパンクバンド、ブリンク 182の活動休止中に、ボーカル兼ギタリストであるトム・デロングが中心となって始動しました。初期メンバーには、元オフスプリングのドラマー、アトム・ウィラードや、かつてトムと共にボックス・カー・レーサーで活動したデヴィッド・ケネディー、元ザ・ディスティラーズのベーシスト、ライアン・シンらが名を連ねました。

単なる音楽プロジェクトにとどまらず、このグループはアートや映画など、多角的なメディアを横断する表現活動を展開している点が特徴です。

結成から初期の歩み

バンドの存在が初めて公にされたのは、2005年9月。トム・デロングはイギリスのロック専門誌「ケラング！」誌上で、自身の新バンドが「エンジェルズ・アンド・エアウェーブズ」であることを明らかにしました。その後、開設されたバンドの公式サイトでは、SF映画「ブレードランナー」からの引用を含むモノクロのミュージックビデオ「The Adventure」が公開され、大きな注目を集めました。

初のスタジオアルバム『ウィ・ドント・ニード・トゥ・ウィスパー』は、2006年5月23日にゲフィン・レコードからリリースされました。同年12月には、自身のmyspaceページを通じて新曲「Star Of Bethlehem」がストリーミング配信され、後にこの楽曲は分割され、「True Love」と共にセカンドアルバムに収録されることとなります。

アルバムリリースとメンバーの変遷

セカンドアルバム『アイ・エンパイア』は、ファーストアルバムと同様にトム・デロング自身がプロデュースを手がけ、2007年11月6日にゲフィン・レコードより発表されました。このセカンドアルバムの制作期間中に、ベーシストのライアン・シンがバンドを離れ、サーティー・セカンズ・トゥ・マーズで活動していたマット・ワクターが新たに加入しました。ラインナップが固まったバンドは、2008年に「ワープド・ツアー」に参加し、ウィーザーのサポートアクトとして全米ツアーを敢行するなど、精力的にライブ活動を展開しました。また、同時期にはトムがファンとの交流を目的としたネットワークサービス「モッドライフ」を立ち上げましたが、現在は閉鎖されています。

2010年2月14日には、実験的な試みとしてサードアルバム『Love』を無料ダウンロード形式でリリース。その続編にあたる『Love Part Two』は翌2011年11月11日に発表され、『Love』とセットになった2枚組のCD『ラヴ・アルバム・パーツ・ワン＆トゥー』として販売されました。この頃、初期メンバーであるドラマーのアトム・ウィラードがバンドを去り、ナイン・インチ・ネイルズでの活動でも知られるアイラン・ルービンが後任として正式に加わりました。

活動の多様化とメンバー再編

2012年11月9日には、新たなEP『Stomping the Phantom Brake Pedal』がiTunesで配信リリースされました。しかし、バンドは再びメンバーの変動に見舞われます。2014年6月24日、マット・ワクターが家族との時間を優先するため脱退したことが明らかになり、さらに同年10月7日には、新曲「Paralyzed」公開時のプレス写真にトムとアイランしか写っておらず、ギタリストのデヴィッド・ケネディーと、マット脱退後に一時的にベースを務めたエディー・ブレッケンリッジ（スライスのメンバー）もバンドを離れていたことが確認されました。この期間中、バンドは音楽活動と並行してマルチメディアプロジェクトを推進。短編アニメーション映画『Poet Anderson: The Dream Walker』の予告編や、同作およびアルバム『The Dream Walker』（2014年リリース）からのミュージックビデオを公開しました。さらに、このプロジェクトに連動する形で、サウンドトラックEP『...Of Nightmares』（2015年）やデモ集『The Dream Walker sessions』（2016年）、小説と連携したEP『Chasing Shadows』（2016年）など、多様な作品を発表しました。

2017年2月、トムは自身の小説を基にした映画「Strange Times」の監督を務めること、そして次期アルバムがそのサウンドトラックとなる構想を明らかにしました。翌2018年4月には、一時離れていたデヴィッド・ケネディーとマット・ワクターがバンドに復帰し、再び初期に近い布陣となります。しかし、この復帰も長くは続かず、2019年4月30日にリリースされたシングル「Rebel Girl」にはマット・ワクターは参加しておらず、再び脱退。後任として、元Taking Back Sundayのベーシスト、マット・ルバノが迎え入れられました。同年8月には、新たなラインナップでシングル「Kiss & Tell」をリリースしました。

2020年4月16日には、COVID-19パンデミックに対する支援として、新曲「All That's Left Is Love」を発表し、その収益を救済募金に寄付することを表明しました。2021年5月11日には新曲「Euphoria」のリリースと同時に、新たなファンクラブ「Empire Club」の設立を発表。そして、2021年9月24日には、約7年ぶりとなる待望の5枚目のスタジオアルバム『Lifeforms』をリリースし、現在も活動を続けています。

メンバー

現在のメンバー

トム・デロング (Tom DeLonge) - ボーカル、ギター (2005年 - )
デヴィッド・ケネディー (David Kennedy) - ギター (2005年 - 2014年、2017年 - )
アイラン・ルービン (Ilan Rubin) - ドラム (2011年 - )
マット・ルバノ (Matt Rubano) - ベース、キーボード (2019年 - )

旧メンバー

ライアン・シン (Ryan Sinn) - ベース (2005年 - 2007年)
アトム・ウィラード (Atom Willard) - ドラム (2005年 - 2011年)
マット・ワクター (Matt Wachter) - ベース、キーボード (2007年 - 2014年、2017年)
エディー・ブレッケンリッジ (Eddie Breckenridge) - ベース (2014年)

ディスコグラフィ

スタジオ・アルバム

『ウィ・ドント・ニード・トゥ・ウィスパー』 (We Don't Need to Whisper) - 2006年
『アイ・エンパイア』 (I-Empire) - 2007年
『ラヴ・アルバム・パーツ・ワン』 (Love) - 2010年
『ラヴ・アルバム・パーツ・トゥー』 (Love: Part Two) - 2011年
The Dream Walker - 2014年
Lifeforms - 2021年

コンピレーション・アルバム

The Dream Walker Demos - 2016年

EP

Stomping the Phantom Brake Pedal - 2012年
...Of Nightmares - 2015年
Chasing Shadows - 2016年
We Don't Need to Whisper Acoustic - 2017年

主なシングル

"The Adventure" (2006年)
"It Hurts" (2006年)
"Do It for Me Now" (2006年)
"The War" (2006年)
"Everything's Magic" (2007年)
"Secret Crowds" (2008年)
"Hallucinations" (2009年)
"Anxiety" (2011年)
"Surrender" (2011年)
"Paralyzed" (2014年)
"The Wolfpack" (2014年)
"Tunnels" (2015年)
"Rebel Girl" (2019年)
"Kiss & Tell" (2019年)
"All That's Left Is Love" (2020年)
"Euphoria" (2021年)
"Restless Soul" (2021年)
"Losing My Mind" (2021年)
"Spellbound" (2021年)
* "Timebomb" (2021年)

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