ワープド・ツアー

ワープド・ツアー (Warped Tour)とは

ワープド・ツアーは、1995年から2019年までアメリカ合衆国とカナダを中心に開催されていた、ロックとエクストリームスポーツの複合型フェスティバルです。正式名称は「ヴァンズ・ワープド・ツアー (Vans Warped Tour)」。

毎年6月から8月にかけて北米の40以上の都市を巡回し、パンクロックバンドを中心に100を超えるアーティストと、BMXライダーやスケーターが集結する、まさに移動遊園地のようなイベントでした。

インディーズバンドの登竜門としての役割も大きく、ワープド・ツアーへの参加をきっかけに知名度を上げ、ブレイクを果たしたバンドも数多く存在します。

「ヴァンズ」はスニーカーブランドの名前で、スポンサーであることからツアー名に冠されています。

歴史

1994年にケヴィン・リーマンによって創設されました。元々はスケートボード大会のBGMとしてバンド演奏を流したのが始まりで、徐々に規模が拡大し、全米最大級のフェスティバルへと発展しました。リーマンは「Taste of Chaos」など、他の大規模ロックフェスティバルも手掛けています。

1995年8月4日にソルトレイクシティで最初の公演が行われ、1998年には日本やオーストラリアなど、海外でも開催されました。入場者数は年々増加し、毎年60～70万人を動員する人気ぶりでした。

創設者のケヴィン・リーマンは、2018年のVans Warped Tourを最後のツアーと発表し、翌2019年は3都市のみで開催され、25年の歴史に幕を閉じました。

ツアーの様子

ワープド・ツアーの会場では、ハーフパイプでスケーターやBMXライダーがパフォーマンスを繰り広げる傍らで、パンクロックバンドがライブ演奏を繰り広げるという、他に類を見ない光景が展開されていました。

ライブは午前11時頃から午後9時頃まで行われ、10ほどのステージが設置されていました。特に人気のバンドは、2つあるメインステージでパフォーマンスを行うことが多かったようです。1バンドに与えられる演奏時間はおよそ30分で、それが終わると次のバンドと交代します。

会場には売店やフリーマーケットも出店し、各バンドは簡易テントでCDやグッズを販売したり、ファンとの交流を行ったりしていました。

2006年からはエコ活動にも力を入れ、ツアーバスにバイオ燃料を使用したり、ステージに太陽光電池を設置するなど、環境に配慮した取り組みも行っていました。

2009年からはメインステージが1つに縮小されたものの、各バンドの演奏時間は30分から40分に延長されました。

出場バンド

当初はパンクやスカ系のバンドが中心でしたが、次第にポップパンクやヘビーメタルなど、様々なジャンルのバンドが出演するようになりました。その年の流行を反映したバンド構成が特徴で、エモやスクリーモの人気が高まると、Boys Like GirlsやUnderoathといったバンドがメインステージに登場するなど、時代に合わせた変化が見られました。

入場方法

入場料を支払ってパスを入手すれば、全てのパフォーマンスを観覧することができました。ただし、複数のステージで同時にパフォーマンスが行われているため、全てを観覧するのは不可能に近く、多くのファンは好きなバンドのステージを選んで見に行くのが一般的でした。入場料は開催年や地域によって異なりますが、およそ40ドルから60ドル程度でした。

トラブル

15年以上の歴史の中で、様々なトラブルも発生しました。

2001年には、D12とラッパーのEshamが対立し、Eshamがエミネムの娘を中傷したことが原因で、両者とも出場禁止となりました。
2006年には、Underøathのキリスト教的信念からくる同性婚への反対姿勢を、NOFXのファット・マイクが揶揄したことで、Underøathが不快感を示し、ツアーを辞退する事態となりました。
* 2007年には、クリスチャンバンドとパンクロックバンドの間に緊張感が生まれることもありました。

日本での開催

ワープド・ツアーは過去に3回、日本でも開催されています（1998年、2004年、2018年）。

ワープド・ツアーは、音楽とエクストリームスポーツを融合させた、他に類を見ないフェスティバルとして、多くの人々に愛されました。その革新的なスタイルは、後の音楽フェスティバルにも大きな影響を与えたと言えるでしょう。

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