エンティティー 霊体

エンティティー 霊体

『エンティティー 霊体』（The Entity）は、1981年にアメリカで公開されたホラー映画で、実際に起こった「ドリス・ビザー事件」を基にして制作されました。この映画は、霊的存在に襲われる女性の恐怖を描くことによって、観客に不安と緊張感を与えています。

ストーリー概要

ロサンゼルスに住むシングルマザーのカーラ・モーラン（演：バーバラ・ハーシー）は、15歳の長男ビリーと二人の幼い娘を育てながら、日々を過ごしています。カーラはある晩、風呂上がりのリラックスした時間を持っていた矢先、突如として見えない力に押さえつけられ、性的暴力に遭うという恐怖の体験をします。悲鳴を聞いたビリーが駆けつけますが、現場には誰の姿も見当たらず、カーラは何が起こったのか信じきれません。

その後の夜、カーラの自宅には不気味な臭いが漂い始め、ポルターガイスト現象が発生するようになります。心配になったカーラは、一時的に友人のシンディの家に避難しますが、シンディの夫の反感を感じ、自宅に戻ることを決意します。しかし、帰路では車のブレーキが効かなくなり、危うく事故を起こしかけるなど、彼女の生活はおかしな方向へと進展します。

カーラは、身の回りの異常さについて精神科医のスナイダーマンに相談しますが、彼はそれを精神的な幻覚だと片付けてしまいます。そして自宅で入浴している最中に再び見えない何者かに襲われ、身体に痕跡が残る事態となるのです。カーラの不安は募るばかりで、精神科医たちは家族が集団で幻覚を見ているのではないかと冷淡に判断します。

霊体との戦い

その後、カーラの元に現れた長旅から帰ってきた二人の娘の父親、ジェリーが一息つく間もなく、カーラは夜中に再度霊に襲われます。カーラは途中で気づかず、夢をごまかすように性的快楽に耽り、さらなる苦悩を味わいます。精神的に追い詰められたカーラは、再びスナイダーマンを訪れ、彼との会話を通じて近親相姦の暗示を告げられ、動揺が深まります。

カーラは書店で知り合った超心理学者たちに助けを求め、彼らも彼女の家に訪れます。ここでもポルターガイスト現象が発生し、彼女の言っていることが当たっていることが証明されていきます。クーリー博士が霊体を閉じ込める実験を計画し、最終的に霊体との壮絶な戦いが繰り広げられます。

映画技術と特殊効果

本作の撮影は、ロサンゼルスで行われ、特殊効果にはスタン・ウィンストンが携わっています。カーラが霊に弄ばれるシーンでは、巧妙に作られたラテックス製のダミーボディが使用され、恐怖とリアリティが同時に追求されています。このような技術によって、観客はカーラの絶望的な状況をより深く感じ取ることができました。

反響と評価

映画のリリース以降、特にホラーファンの間で強い支持を受け、クエンティン・タランティーノやマーティン・スコセッシといった映画監督からも高評価を得ています。また、2015年には本作のリメイクが発表され、今もなおその影響力が感じられています。

『エンティティー 霊体』は、心霊現象の恐怖をリアルに描きつつ、精神的なテーマも内包した作品であり、ジャンルを超えて多くの人々にトラウマを与える魅力を持っています。

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