エンパイア・バラクーダ (客船)

エンパイア・バラクーダの生涯

エンパイア・バラクーダは、その生涯において複数の名前と所有者を持つことになった貨物船（客船）です。元々は1918年にアメリカで「サカンダージャ」として建造されました。この船は、アメリカの造船会社、アメリカン・インターナショナル造船によってペンシルベニア州で誕生しました。起工は1918年3月20日、進水は同年10月29日、そして1919年1月12日に竣工しました。

当初、サカンダージャはUSSB（United States Shipping Board）社の船舶として建造されましたが、1919年にはアメリカン・パルメット・ラインの管理下に移ります。その後、1925年には再びUSSB社の管理に戻され、1931年にはアメリカン・ダイヤモンド・ラインに移籍しました。この間、1932年には船名を「ブラック・ヘロン」と改称しています。

ブラック・ヘロンとしての活動では、1939年までに以下の地域に寄港しました。

アメリカ東海岸
ヨーロッパ
* 地中海

第二次世界大戦での転換

1941年、ブラック・ヘロンはイギリス政府に徴用され、船名を「エンパイア・バラクーダ」と改められました。この時、母港はロンドンに変更され、キュナード・ホワイト・スター・ラインが管理を担当することになりました。第二次世界大戦中、エンパイア・バラクーダは船団の一員として活動し、戦争を支える重要な役割を担いました。

悲劇的な最期

エンパイア・バラクーダの運命は、1941年12月15日に悲劇的な結末を迎えます。ドイツの潜水艦U-77による雷撃を受け、北緯35度30分 西経06度17分の地点で沈没しました。この攻撃により、9人の乗組員と4人の狙撃手が命を落としました。しかし、8人の乗組員と1人の狙撃手は、幸いにも付近を航行していた軍艦によって救助されるか、ジブラルタルに漂着し、一命を取り留めました。

エンパイア・バラクーダの仕様

エンパイア・バラクーダは、600馬力（450kW）の出力を誇る蒸気エンジンを搭載しており、最高速度12ノット（約22km/h）で航行することができました。このスペックは、当時の貨物船としては標準的なものでした。

エンパイア・バラクーダは、その名前を何度か変えながらも、アメリカからイギリスへと渡り、最終的には戦時下でその生涯を終えた船でした。その歴史は、当時の海運業界の状況と戦争の悲劇を物語っています。

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