エンペラドル・カルロス5世 (装甲巡洋艦)

エンペラドル・カルロス5世 (Emperador Carlos V)

エンペラドル・カルロス5世は、スペイン海軍に所属する装甲巡洋艦で、同型艦は存在しない特異な艦船です。1892年に起工し、1895年に進水、1898年に完成しました。この艦はカディス海軍工廠で建造されており、さまざまな国の技術が融合した艦艇として知られています。

建造と構造

本艦の特徴の一つは、ボイラーと主機関がスペイン製、装甲がドイツ製、砲火器がフランス製という、国ごとに異なる調達方法です。この多国籍な構造は、当時の技術進歩を反映したものでもあります。艦形は、乾舷が高く平甲板型で、水面下には衝角を持つ艦首が特徴です。

艦首には、28cm砲が1基配置された単装式露砲塔があります。この露砲塔は前向きに設置され、司令塔が艦橋に組み込まれています。艦橋は両側に船橋を持ち、その後部には見張り所が設けられています。

中央部には、等間隔に配置された3本の煙突が立ち、艦内への吸気用通風筒も装備されています。煙突の後方には艦載艇置き場があり、クレーンによって運用されていました。後部甲板では、後方にもう1基の28cm砲が配置されており、さらなる火力を提供しています。

武装配備

本艦の主砲は、フランスのカネー社製の「カネー 1883年型 28cmライフル砲」です。この砲は、266kgの砲弾を最大で10,460m先まで届かせる性能を持ち、高い貫通力を誇ります。露砲塔の装甲も非常に厚く、耐久性に優れています。

副砲には、同じくフランス製の「カネー 1884年型 14cm速射砲」が採用されており、その射程は15,000mです。艦の周囲には合計8基の副砲と、多彩な近接火器が配置されています。対水雷艇用の武装も含まれ、35.6cmの魚雷発射管など、多くの武装が搭載されています。

1920年には、複数の砲が撤去され、新たに10.5cm速射砲や12.7mm単装機銃が追加されました。このように、時代とともに装備が更新されていました。

防御能力

エンペラドル・カルロス5世の防御装甲は、艦の水線部に25.4mmから51mmの装甲を施し、前級艦艇よりも装甲厚は薄くなっています。主砲のバーベット部は248mmの装甲が施されていますが、最終的に艦の運用においての防御力には限界があります。このように、装甲の厚さは多様性を持ってはいるものの、全体的に見ると他艦と比べて薄いといえるでしょう。

結論

エンペラドル・カルロス5世は、その建造における多国籍な設計と高度な武装を持つ艦艇として、スペイン海軍の歴史において特異な存在です。多様な技術が結集したこの装甲巡洋艦は、時代の変遷とともに進化し続け、海洋戦力としての役割を果たしました。

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