エーレンガルト・メルジーネ・フォン・デア・シューレンブルク

エーレンガルト・メルジーネ・フォン・デア・シューレンブルク（1667年12月25日 - 1743年5月10日）は、イギリス王ジョージ1世（ハノーファー選帝侯ゲオルク・ルートヴィヒ）の愛妾として歴史に名を残す女性です。ドイツの貴族、グスタフ・アドルフ・フォン・デア・シューレンブルクの娘として生まれました。また、ザクセン選帝侯領の将軍として活躍したヨハン・マティアス・フォン・デア・シューレンブルクは彼女の兄にあたります。

メルジーネは、ハノーファー選帝侯妃ゾフィーの侍女として宮廷に出仕し、その美貌と知性でゲオルク・ルートヴィヒの心を捉え、1690年に愛妾となりました。彼女は長身で痩せていたため、ドイツでは「かかし」という愛称で呼ばれていました。ゲオルク・ルートヴィヒは、美貌の妃ゾフィー・ドロテアを顧みることなく、メルジーネを寵愛し続けました。

1714年、ゲオルク・ルートヴィヒがジョージ1世としてイギリス国王に即位すると、メルジーネも共にイギリスへ渡りました。ジョージ1世は彼女を厚遇し、1716年にはアイルランド貴族としてマンスター女公爵、ダンガノン女侯爵、ダンドーク女男爵の称号を授与しました。さらに1719年には、グレートブリテン貴族としてケンダル女公爵、フィヴァシャム女伯爵、グラストンベリ女男爵の称号を与えました。1723年には、神聖ローマ皇帝カール6世によってエーベルシュタイン公爵夫人にも任じられています。これらの外国の称号が授与された頃から、メルジーネとジョージ1世は秘密裡に結婚しているのではないかという噂が広まりました。

ジョージ1世は、1694年にゾフィー・ドロテアと離婚後、彼女を生涯幽閉し続けました。そのため、メルジーネが事実上の王妃としてイギリス宮廷で大きな影響力を持つことになりました。彼女は非常に金銭欲が強く、王への謁見を求める貴族や商人から、その都度紹介料を徴収していたと言われています。首相ロバート・ウォルポールによれば、彼女は入札によって謁見者を決めることさえあったそうです。国民は、メルジーネの長身を揶揄して「メイポール」（五月祭に立てる高い柱）というあだ名で彼女を呼びました。

1727年にジョージ1世が崩御すると、メルジーネはミドルセックスのケンダル・ハウスに移り住み、1743年5月10日に生涯を閉じました。

ジョージ1世との間には、以下の3人の子供がいました。

アンナ・ルイーゼ・ゾフィー・フォン・デア・シューレンブルク（1692年 – 1773年） - エルンスト・フォン・デム・ブッシェの妻
ペトロニラ・メルジーネ・フォン・デア・シューレンブルク（1693年 – 1778年） - ウォルシンガム女伯爵。第4代チェスターフィールド伯フィリップ・スタンホープの妻
* マルガレーテ・ゲルトルート・フォン・デア・シューレンブルク（1701年 – 1726年） - シャウムブルク＝リッペ伯アルブレヒト・ヴォルフガングの妻

彼女の生涯は、愛妾という立場でありながら、政治と社交の世界で大きな影響力を持った女性の物語として、今日に語り継がれています。

もう一度検索