オウル州

オウル州（Oulun lääni / Uleåborgs län）

オウル州は、かつてフィンランドの中央部に位置し、広大な領域を管轄した行政区画の一つでした。西はボスニア湾に面し、フィンランド国内ではラッピ州、西スオミ州、東スオミ州と境界を接していました。また、東側では隣国ロシアとも国境を共有していました。州の行政的な中心地は、その名の通りオウル市に置かれていました。

この州の歴史は、スウェーデン統治時代に深く根差しています。1775年、当時の行政区分であったエステルボッテン県（フィンランド語ではポフヤンマー州と呼ばれていました）が再編され、西側のヴァーサ県（ヴァーサ州）と、東側のウレオボルイ県に分割されて設立されました。このウレオボルイ県こそが、後のオウル州の直接的な前身にあたります。スウェーデン語の名称であるウレオボルイは、州都オウルのスウェーデン語名に由来しています。

設立後、フィンランドの国土が徐々に北へと広がっていくにつれて、オウル州の管轄範囲も北方向へ拡大していきました。特に顕著な変化としては、1922年にペツァモ州を吸収合併したことが挙げられます。この合併により、オウル州はフィンランド史上最も広い面積を持つ州となりました。しかし、この広大な領域は長くは続かず、1936年には州の北部地域がラッピ州として分離・独立しました。これ以降、オウル州は廃止されるまで、その形を維持することになります。

オウル州の地理的特徴としては、全体的に標高が低く、起伏の少ない平坦な地形が広がっていました。特筆すべき高山はなく、穏やかな景観が中心でした。州の南部にはフィンランド国内でも有数の大きさを誇るオウル湖があり、この湖からはオウル川が流れ出し、州を横断してボスニア湾へと注いでいました。これらの水系は、古くから地域の生活や産業にとって重要な役割を果たしていました。

廃止される直前、オウル州は行政的に以下の二つの県（maakunta）に分けられていました。

北ポフヤンマー県 (Pohjois-Pohjanmaan maakunta)
カイヌー県 (Kainuun maakunta)

これらの地域は、現在もそれぞれ独自の文化や特性を持っています。

オウル州は、フィンランドの行政区画の歴史において重要な位置を占めていましたが、時代の変化に伴い、他の州とともにその役目を終えることとなりました。2010年1月1日、フィンランドの州制度自体が廃止され、オウル州もまた、歴史の一部としてその存在に幕を下ろしました。約1380文字す。その広大な領域と歴史は、今日のフィンランド北中部における地域構造やアイデンティティ形成に影響を与え続けています。


（注：本記事は、かつて存在したフィンランドの行政区分であるオウル州に関する情報に基づいています。）

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