オオアジサシ

オオアジサシについて

オオアジサシ（Thalasseus bergii）は、カモメ科に属する美しい海鳥で、主にインド洋と西太平洋の海域を好んで生息しています。この鳥は、特に繁殖期において、アフリカ大陸南西部やユーラシア大陸南部、オーストラリア、フィリピンなど、多くの地域で姿を見せます。日本では亜種オオアジサシが夏季に小笠原諸島や琉球列島に訪れ、特に西之島や尖閣諸島北小島で繁殖を行います。

形態

オオアジサシは全長43-48cm、翼を広げると100-130cmに達します。体重は0.3-0.4kg程度で、特徴的なのはその美しい外観です。尾羽には浅い切れ込みがあり、額から頬にかけては白、背中は暗灰色の羽毛で被われています。後頭部には黒い羽毛があり、その可愛らしさから「冠のある」という英名の由来となっています。翼の上面も暗灰色で、下面は白。嘴は明るい黄緑色や黄色で、後肢は黒色をしています。

その卵は淡黄色や淡青色で覆われており、様々な斑点や斑紋があります。若鳥はしばしば後肢が黄色いこともあります。季節によって羽毛の色が変化し、夏季には黒い羽毛で覆われ、冬季には白い羽毛となり、黒い斑紋が見られます。

分類

オオアジサシは以前はアジサシ属（Sterna）に分類されていましたが、ミトコンドリアDNAの研究によってオオアジサシ属（Thalasseus）に移行した結果、現在はThalasseus属に分類されています。2024年の時点では、主要なチェックリストはすべてThalasseusに基づいています。

この種は4亜種に分かれるとされ、BirdLife Internationalでは5亜種が確認されています。

生態

オオアジサシは主に海で生活し、主な食事は魚類や軟体動物です。彼らは飛びながら水面を観察し、獲物を発見すると停空して狙いを定め、急降下して捕らえます。この独特の捕食方法は、非常に優雅で観察する価値があります。

繁殖は集団で行われ、巣を作らずに直接砂浜や岩礁に卵を産むのが特徴です。日本では通常5月から6月にかけて1回、1個の卵を産み、雌雄交代で卵を抱えます。抱卵期間は約25-30日で、雛は孵化してから2日で巣を離れ、38-40日で飛翔可能になります。性成熟には約2年かかります。

人間との関係

しかし、この美しい鳥は現代において、狩猟や生息環境の変化によって生息数が減少しています。特に日本では、繁殖地が限られているため保護が求められています。中之島においては、火山活動や高波による影響が懸念されています。かつては徳之島や南大東島でも繁殖していましたが、最近ではその例が見られなくなっています。オオアジサシは絶滅危惧II類に指定されており、その保護が急務となっています。

このようにオオアジサシは、環境の変化や人間の影響を受けやすい存在であり、その保護と生息環境の維持が重要です。美しさと独特の行動を持ったこの海鳥について、より多くの人々に知ってもらい、保護活動に参加してもらいたいものです。

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