オオイタビ(大木蓮子・大崖石榴)について
オオイタビ(
学名:
Ficus pumila)は、
クワ科イチジク属に分類される常緑のつる性木本です。
東アジア南部に広く分布しており、日本では
関東南部以西の、特に海岸近くの温暖な地域に自生しています。また、栽培もされており、その生命力と独特な姿から、様々な用途で利用されています。
特徴
オオイタビは、茎から出す気根で岩や木、壁などにしっかりと張り付きながら成長します。その名前の由来は、同じくつる性のイタビカズラに似ているものの、より大型であることからきています。中国では「薜荔」と呼ばれています。
葉は互い違いに生え、全縁で長楕円形から卵形をしています。成
葉は長さ5~10cmとイタビカズラよりも大きくなりますが、幼
葉は2cm程度と小さく、見分けがつきにくい場合があります。また、茎や
葉を傷つけると白い乳液が出て、少しベタベタするのが特徴です。
イチジク属の植物と同様に、
花は壷状の
花嚢の中に咲き、外からは見えません。
雌雄異株であり、雌
花序が受粉すると、内部に多数の
果実が形成されます。この
果実は、長さ6cmほどの果嚢となり、熟すと濃紫色になります。熟した果嚢は食用にすることができ、特に台湾に生育するアイギョクシという変種は、
果実からペクチンを抽出して食用に利用されています。
分布と生育環境
日本では、
千[[葉県]]以西の太平洋側から
南西諸島にかけて分布しています。人家の壁や石垣、樹木などに這い茂る様子が見られます。
利用
オオイタビは、その丈夫さから、壁面緑化によく利用されます。特に、温暖な地域では、建物の壁を覆うように繁茂している光景を見ることができます。また、幼苗は観
葉植物としても人気があり、「フィカス・プミラ」という名前で流通しています。
斑入りの
葉を持つ園芸品種も存在し、観賞用としての価値も高いです。
ただし、気根が建物を傷つける可能性もあるため、注意が必要です。
栽培
観
葉植物として栽培される場合は、明るい日陰を好みます。強い直射日光は
葉を傷める原因となるため、半日陰で管理することが望ましいです。水やりは、春から秋にかけてはたっぷりと、冬場は乾燥させない程度に行います。肥料は、春から秋にかけて、2ヶ月おき程度に液肥を与えると良いでしょう。
食用
完熟した果嚢は、生で食べたり、
ジャムなどに加工することができます。特に、アイギョクシの
果実は、ゼリーの原料として利用されています。
近縁種
オオイタビに似た近縁種として、イヌビワがあります。また、イタビカズラやヒメイタビも似た植物ですが、
花嚢の大きさが異なります。
園芸品種
‘バリエガータ’:葉に黄緑色から白色の斑が入る品種。
‘サニー’:白色の
斑入り葉が特徴の品種。
これらの品種は、
葉の色や模様が美しく、観
葉植物としての人気を高めています。
まとめ
オオイタビは、その独特な姿と生命力から、様々な場所で利用されている魅力的な植物です。壁面緑化や観
葉植物として楽しむだけでなく、一部地域では食用にもなる、多才な植物と言えるでしょう。