クワ科

クワ科について

クワ科（Moraceae）は、バラ目に属する被子植物の科の一つであり、約40属、1000種以上が確認されています。特に熱帯や亜[[熱帯]]地域に多く分布しており、その多様な形態や生態から、私たちの生活にも深く関わっています。

形態

クワ科の植物は、木本または一部草本として存在します。よく知られるものには、クワ、イチジク、パンノキ、パラミツ（ジャックフルーツ）などがあります。また、観葉植物として親しまれているインドゴムノキやガジュマルもこの科に属しています。花は小さく単性で、穂状花序や頭状花序を形成し、果実は集合果となるものが多いのが特徴です。

特にイチジク属は、特徴的な壷状の花序（隠頭花序）を持ち、外見上は全体が1つの果実のように見えます。これは、花が内側に咲き、外部から見えないという独特の構造によるものです。

生態

クワ科の植物は、その多様な生態から、様々な環境に適応しています。熱帯雨林から乾燥地帯まで、幅広い地域で見られ、その種数は非常に多いです。

人間との関わり

クワ科の植物は、古くから人間生活に深く関わってきました。その利用方法は多岐にわたり、以下のようなものが挙げられます。

木材

ミリキア属の2種は「イロコ」という名前で知られ、船舶、橋、建築、床など幅広い用途で利用されています。特に耐久性が高く、貴重な木材として重宝されています。また、中南米産のBrosimum属のスネークウッドは、独特の模様からステッキやバイオリンの弓などに、ムイラピランガは濃赤色の材で象嵌細工などに利用されています。

食用

多くの種が果実を食用として利用できます。日本で最も一般的なのはイチジクであり、クワの実も食用とされています。その他、熱帯地域ではパンノキやパラミツなどが重要な食料資源となっています。

薬用・毒

クワは、樹皮、葉、果実が漢方薬として利用されています。一方、東南アジアやアフリカに分布するウパスノキは、樹液に強心配糖体を含み、矢毒として用いられることがあります。この樹の周辺には草も生えないという話も残っており、その毒性の強さが伺えます。

飼料

クワの葉は、カイコの幼虫の唯一の餌として利用されます。カイコは家畜化された昆虫であり、人に飼育されることで絹糸を作り出します。養蚕地では、クワの木は人が葉を採取しやすいように低く仕立てられています。カイコが繭を作った後は、その蛹は飼料や食用として利用されることもあります。

繊維

コウゾ属の植物は、和紙の原料として利用されます。樹皮から取れる繊維は、木綿や太布と呼ばれ、布としても利用されます。また、南太平洋のポリネシアで作られるタパも同様の繊維から作られています。

観賞

ガジュマルやゴムノキ類、フィカス・プミラなどは観葉植物として人気があります。また、ドルステニア属の植物は、その独特な形状から塊茎植物（コーデックス）として栽培されています。

分類

クワ科は、かつてアサ科を含んでいた時期もありましたが、現在では別の科として扱われています。クロンキスト体系ではイラクサ目に分類され、APG植物分類体系ではバラ目に含まれています。

クワ科は、以下の6つの連に分類されます。

パンノキ連 (Artocarpeae)
クワ連 (Moreae)
ハリグワ連 (Maclureae)
Dorstenieae
イチジク連 (Ficeae)
Castilleae

各連には、それぞれ特徴的な属が含まれており、多様な植物群を形成しています。

系統

近年では、分子系統解析によって、クワ科のより正確な系統関係が明らかになりつつあります。これにより、従来の分類体系が見直され、新たな知見に基づいた分類が進められています。

まとめ

クワ科は、その多様性と人間との深い関わりから、非常に興味深い植物群です。食用、木材、薬用、繊維など、多岐にわたる利用価値を持ち、私たちの生活に欠かせない存在です。また、観葉植物としても親しまれており、その多様な形態は、私たちに自然の驚異と美しさを教えてくれます。

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