オオバキスミレ

オオバキスミレ（大葉黄菫）について

オオバキスミレ（学名: Viola brevistipulata）は、スミレ科スミレ属に分類される多年草です。日本では、北海道から近畿地方以北の日本海側に広く分布しており、特に積雪量の多い地域で見られます。和名の由来は、他のスミレに比べて葉が大きいことと、黄色い花を咲かせることにあります。

分布と生育環境

オオバキスミレは、主に山地帯から亜高山帯にかけての原野、山麓、林縁、草地、河岸など、日当たりの良い場所や樹陰に自生します。多雪地帯を好む傾向があり、雪解けとともに芽を出す様子が見られます。

形態と生態

この植物は、地下茎を横に伸ばして繁殖する多年草です。地上茎は直立し、高さは10〜30cm程度になります。根元からは心形の根生葉が1〜2枚、茎の上部には広卵形の茎葉が3〜4枚生えます。葉の長さは2〜8cmで、縁にはギザギザの鋸歯があります。

花期は5〜6月で、茎の上部に直径1.5cmほどの黄色い花を1〜3個咲かせます。花弁には紫色の線が入ることがあります。花が終わると種子をつけ、翌年の春に再び芽を出します。

山菜としての利用

オオバキスミレは、新芽や開花前の茎葉が山菜として利用されます。採取時期は4〜5月頃が適期で、茎葉のみを摘み取るようにし、根ごと採取することは避けるべきです。採取した若芽や茎葉は、さっと茹でて水にさらし、和え物、おひたし、酢の物などに調理します。また、天ぷらや卵とじ、サラダなどにも利用できます。花後の茎葉も多少かたいものの食用にできます。

近縁種と分類

オオバキスミレには多くの変種や亜種があり、分類が複雑です。主なものとして以下のようなものがあります。

ミヤマキスミレ（Viola brevistipulata var. acuminata）：亜高山帯の草地に分布。
フギレオオバキスミレ（Viola brevistipulata var. laciniata）：北海道南西部の亜高山帯に分布。
フチゲオオバキスミレ（Viola brevistipulata var. ciliata）：北海道南部と北日本の太平洋側に分布。
ナエバキスミレ（Viola brevistipulata var. kishidae）：飯豊山地から苗場山、北アルプス北部の山地帯〜亜高山帯に分布。
ダイセンキスミレ（Viola brevistipulata var. minor）：大山周辺に分布。
エゾキスミレ（Viola brevistipulata ssp. hidakana）：北海道のアポイ岳などに分布。

これらの変種は、葉の形や毛の有無などが異なります。

レッドリストと保全状況

オオバキスミレは、いくつかの都道府県でレッドリストに指定されています。例えば、京都府では準絶滅危惧種、滋賀県では分布上重要種に指定されており、生育地の保護や保全活動が求められています。

まとめ

オオバキスミレは、日本の山地に自生する美しい多年草であり、山菜としても親しまれています。その多様な変種とともに、自然の中でその姿を大切にしていきたい植物です。

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