スミレ科

スミレ科（Violaceae）

スミレ科は、被子植物に属する科の一つで、スミレ、パンジー、ニオイスミレなど、私たちに馴染み深い植物を含んでいます。世界中に広く分布しており、その種数は24属1100種以上にのぼります。特に、温帯から寒帯にかけて多くの種が見られ、その中心となるのがスミレ属です。

形態

スミレ科の植物は、木本または草本の形態をとります。葉は互生し、托葉を持つことが特徴です。花は左右相称または放射相称で、がく、花弁、雄しべがそれぞれ5個ずつあります。子房は通常3心皮で、側膜胎座を持ちます。果実は蒴果または液果です。

分類

スミレ科は、その多様性から、いくつかの属に分類されています。中でもスミレ属 (Viola) は最大の属であり、約690種を含みます。スミレ属は、温帯を中心に、寒帯から熱帯まで広く分布しています。

スミレ属に次いで種数が多いのは、Rinorea属で約212種、続いてPombalia属、Pigea属、Hybanthus属などが存在します。これらの属は、主に熱帯から亜熱帯に分布しており、日本には分布しない種も多く、標準的な和名が付いていないものもあります。

スミレ科は、3つの亜科に分けられ、さらに連・亜連に細分化されます。

Fusispermoideae亜科：Fusispermum
Leonioideae亜科：Leonia
Violoideae亜科：
Rinoreeae連：
Hymenantherinae亜連：Hymenanthera, Melicytus
Isodendriinae亜連：Isodendrion
Paypayrolinae亜連：Amphirrhox, Hekkingia, Paypayrola
Rinoreinae亜連：Allexis, Decorsella, Gloeospermum, Rinorea, Rinoreocarpus
Violeae連：Agatea, Anchietea, Corynostylis, Hybanthopsis, Hybanthus, Mayanaea, Noisettia, Orthion, Schweiggeria, Viola（スミレ属）

系統

分子系統学の発展により、植物の分類体系も変化してきました。APG植物分類体系では、スミレ科はキントラノオ目に含められています。一方、クロンキスト体系や新エングラー体系では、スミレ科はスミレ目という独立した目に分類されていました。これらの体系では、ウリ科やトケイソウ科などとの関連性が重視されていました。

APG植物分類体系：キントラノオ目
クロンキスト体系：スミレ目
新エングラー体系：スミレ目

スミレ科の分類は、分子系統学の進展とともに、今後も変化していく可能性があります。

外部リンク: Violaceae in Watson, L., and Dallwitz, M.J.
外部リンク: Violaceae in Stevens, P.F.
外部リンク: Chilean Violaceae

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