オオバノヤエムグラ

オオバノヤエムグラ（大葉の八重葎）

オオバノヤエムグラ（学名：Galium pseudoasprellum）は、アカネ科ヤエムグラ属に分類される多年草です。日本をはじめ、東アジアに分布し、山地の草地などで見られます。

特徴

• - 形態:

- 茎は長く伸び、他の草などに絡みつくつる性です。1m以上に成長することもあります。
- 茎には四つの稜があり、下向きの小さな刺が生えています。
- 葉は輪生しており、各輪に4～6枚の葉がつきます。葉の形は倒披針形または倒披針状長楕円形で、先端は急に細くなっています。
- 葉の表面にはまばらに毛が生え、縁と裏面の葉脈上には下向きの刺状毛があります。

• - 花:

- 花期は7月から8月で、枝先や葉腋から細長い花序を伸ばし、黄緑色の小さな花を多数つけます。
- 花柄は細く、花冠は杯形で先端が4つに裂けます。
- 雄しべは4本、子房は2室に分かれており、各室に1つの胚珠があります。

• - 果実:

- 果実は2つの分果からなり、各分果に1つの種子が入っています。
- 分果は半長楕円形で、表面には曲がった毛が密生しています。

分布と生育環境

日本では、南千島、北海道、本州、四国、九州に分布し、山地の日当たりの良い草地などに生育します。国外では、朝鮮半島や中国東北部にも分布しています。

ヤエムグラとの違い

オオバノヤエムグラは、同じヤエムグラ属のヤエムグラに似ていますが、以下の点で区別できます。

• - オオバノヤエムグラは多年草であるのに対し、ヤエムグラは一年草です。
• - オオバノヤエムグラの花期は夏ですが、ヤエムグラは春に花を咲かせます。
• - オオバノヤエムグラは、輪生する葉の数が少なく、葉の幅が広く先端が尖っています。

名前について

和名の「オオバノヤエムグラ」は、「葉が大きいヤエムグラ」という意味です。「ムグラ」は、草むらや藪を意味します。

種小名の pseudoasprellum は、「偽の asprellum 種」を意味します。この名前は、牧野富太郎によって1903年に命名されました。

下位分類

• - ビンゴムグラ (Galium pseudoasprellum var. bingoense)：広島県で発見された変種で、基本種に比べて繊細で、葉は4輪生、まれに5-6輪生します。葉先は丸みを帯びています。

参考文献

• - 高橋勝雄『山溪名前図鑑 野草の名前 春』山と溪谷社、2002年
• - 林弥栄監修、門田裕一改訂版監修、平野隆久写真『山溪ハンディ図鑑1 野に咲く花（増補改訂新版）』山と溪谷社、2013年
• - 大橋広好・門田裕一・木原浩他編『改訂新版 日本の野生植物 4』平凡社、2017年
• - 牧野富太郎原著、邑田仁・米倉浩司編集『新分類 牧野日本植物図鑑』北隆館、2017年

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