ヤエムグラ

ヤエムグラ（八重葎）

ヤエムグラ（学名：Galium spurium var. echinospermon）は、アカネ科に属する一年草または越年草で、日本全国の道端や空き地などでごく普通に見られます。その特徴的な姿と、衣服などに付着しやすい性質から、子供たちの間では昔から親しまれてきました。

特徴

ヤエムグラは、華奢な印象の一年草または越年草です。茎には四つの稜があり、葉は細長い倒卵形で、6〜8枚が輪状に生えます。茎には下向きの小さな棘があり、この棘を他の植物などに引っ掛けながら、体を支え、立ち上がります。

この棘は、衣服などに簡単に付着するため、子供たちはこの植物を切り取って服に付ける遊びをしていました。また、ヤエムグラの果実にも鉤状の毛が生えており、これも衣服などに付着します。これは、動物などに付着して種子を遠くまで運んでもらうための戦略と考えられています。

古典の中のヤエムグラ

ヤエムグラは、古くから人々の生活と密接に関わってきた植物です。万葉集には「やえむぐら」と詠まれた歌がありますが、この「やえむぐら」は、特定の植物を指すのではなく、「むぐら」と総称される様々な雑草や、それらが茂った状態を指していると考えられています。

また、小倉百人一首に収録されている恵慶法師の歌に詠まれている「八重むぐら」は、秋に繁茂するアサ科のカナムグラを指すと考えられています。このように、古典に登場する「やえむぐら」は、現代のヤエムグラとは異なる場合があるので注意が必要です。

ギャラリー

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関連項目

ひっつき虫
シラホシムグラ - ヤエムグラによく似た帰化植物

参考文献

山田卓三,中嶋信太郎『万葉植物事典』北隆館、1995年。
林弥栄(監修)、平野隆久(写真)『野に咲く花』山と溪谷社〈山溪ハンディ図鑑 1〉、1989年。ISBN 4-635-07001-8。
北川尚史(監修)、丸山健一郎(文)、伊藤ふくお(写真)『ひっつきむしの図鑑』トンボ出版、2003年。ISBN 4-88716-147-6。
山田隆彦監修『見わけがすぐつく 野草・雑草図鑑』成美堂出版、2023年1月20日、121頁。ISBN 978-4-415-32814-0。

外部リンク

* ヤエムグラ - ウェイバックマシン（2006年6月24日アーカイブ分）（植物雑学事典）

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