オオバノヨツバムグラ

オオバノヨツバムグラ（大葉の四葉葎）

オオバノヨツバムグラ（学名：Galium kamtschaticum var. acutifolium）は、アカネ科ヤエムグラ属に属する多年草です。エゾノヨツバムグラ（Galium kamtschaticum var. kamtschaticum）を基本変種とする変種として知られています。

特徴

オオバノヨツバムグラは、その独特な形態で識別できます。

地下茎: 四角形で細く、地中を横に這いながら枝分かれし、節から細い根を出します。
茎: 直立し、高さ20-40cm。断面は四角形で、毛はありません。
葉: 最も特徴的なのは、4個の葉が輪生する点です。葉身は長さ2-5cm、幅0.8-2.3cmの楕円形または長楕円形で、先端は丸みを帯びています。葉は薄く、表面には3本の太い中脈が目立ちます。葉の縁と脈上には上向きの剛毛が生えています。これらの輪生する葉は、対生する2個の本来の葉と、残りの2個の葉と同形の托葉から構成されます。
花期: 6-7月。茎の先または上部の葉腋に、まばらな集散花序を形成します。花柄は果期には長さ3-5mmになります。
花冠: 杯形で、径2.5-3mmの黄緑色。先端は4つに裂け、裂片は鋭く尖っています。
雄蕊: 4個あり、花冠の基部に付着しています。
子房: 2室に分かれ、各室に1個の胚珠があります。花柱は2裂します。
果実: 2個の分果に分かれ、各分果に1個の種子があります。分果には長い鉤状の毛が密生しています。

分布と生育環境

オオバノヨツバムグラは、日本国内では南千島、北海道、本州、四国に分布しています。亜高山の針葉樹林の中、特に木陰の湿った場所を好んで生育し、しばしば群生が見られます。国外では、サハリンや千島列島にも分布しています。

名前の由来

和名「オオバノヨツバムグラ」は、「大葉の四葉葎」に由来します。「ムグラ」は、草むらや藪を意味します。

種小名: kamtschaticum は、「カムチャツカの」を意味します。
変種名: acutifolium は、「葉の先の尖った」を意味します。

エゾノヨツバムグラとヤクシマムグラ

エゾノヨツバムグラ

エゾノヨツバムグラ（Galium kamtschaticum var. kamtschaticum）は、オオバノヨツバムグラの基本変種です。オオバノヨツバムグラと比較して全体的に小型で、高さは10-20cm。葉は長さ8-20mm、幅5-13mmで、広楕円形、広倒円形、または倒卵形をしています。南千島、北海道、本州中部地方以北、千島列島、朝鮮半島、ウスリー、カムチャツカ半島、北アメリカに分布しています。

ヤクシマムグラ

ヤクシマムグラ（Galium kamtschaticum var. minus）は、エゾノヨツバムグラを基本種とする変種です。全体がさらに小型で、茎の高さは3-6cm。葉も小さく、長さ4-9mm、幅2-4mmで、長楕円形または倒卵状長楕円形をしています。屋久島に固有の種です。



参考文献
高橋勝雄『山溪名前図鑑 野草の名前 春』、2002年、山と溪谷社
門田裕一監修、永田芳男写真、畔上能力編『山溪ハンディ図鑑2 山に咲く花（増補改訂新版）』、2013年、山と溪谷社
大橋広好・門田裕一・木原浩他編『改訂新版 日本の野生植物 4』、2017年、平凡社
牧野富太郎原著、邑田仁・米倉浩司編集『新分類 牧野日本植物図鑑』、2017年、北隆館
* 米倉浩司・梶田忠 (2003-)「BG Plants 和名－学名インデックス」（YList）

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