オオメダカナガカメムシ

オオメダカナガカメムシ Malcus japonicus

はじめに

オオメダカナガカメムシ（学名：Malcus japonicus）は、カメムシ目に属するメダカナガカメムシ科の一種です。この昆虫は、主にクワの木の葉裏に生息しているのが観察されます。体長は約5.5ミリメートル程度の比較的小型のカメムシです。

形態

本種は全体的に暗褐色をしており、体表には細かい点刻が多数見られます。また、短い黄色の毛が全身を覆っています。

頭部はやや角ばった形状をしており、複眼は黒褐色です。頭部の中央には2つの単眼があり、これらは互いに比較的接近して配置されています。

触角は細長く伸びています。触角の第一節は太くて短く、色は黒褐色です。続く第二節と第三節は細長く、黄色を呈しています。第三節は第二節よりもわずかに長くなっています。第四節はやや太くなり、第一節と同じくらいの長さで黒褐色をしています。

前胸背は、前方では幅が狭く、後方に向かうにつれて広がる形状をしています。全体的な色は暗褐色ですが、前縁部分と正中線は黒くなっています。ここにも多くの点刻が見られ、中央部の両側面近くには一対の瘤（こぶ）状の突起があります。

小楯板は小さく、暗褐色です。小楯板の基部の両端には、小さな黄色の斑紋が確認できます。

前翅は、基部の革質部が暗褐色で点刻が多く、基部近くおよび先端寄りにそれぞれ一対の淡い色の斑紋があります。膜質部は黒褐色で、数個の淡い色の斑紋が散在しています。

腹部の後半部の側面は、はっきりとした鋸の歯のような形状（鋸歯状）をしています。

身体の下面は全体的に黒色です。歩脚は細く、全体に淡い黄褐色をしています。

生態

オオメダカナガカメムシは、主にクワの木で見られます。特に葉の裏に静止している姿がよく観察されます。ただし、この昆虫が農業に対して大きな害を及ぼすことは少ないと考えられています。実際に、主要な農業害虫に関する専門書などでは、本種について記述されていないことが多いようです。

分布

日本国内においては、本州、四国、九州に分布しています。国外では、朝鮮半島および中国南部から存在が確認されています。

分類

オオメダカナガカメムシは、オオメダカナガカメムシ属（Malcus）に分類されます。この属には東アジアから南アジアにかけて約30種が知られていますが、日本からは本種 Malcus japonicus のみが記録されています。

日本国内で本種と近縁とされる種としては、同じメダカナガカメムシ科に属するメダカナガカメムシ（Chauliopes fallax）が挙げられます。しかし、メダカナガカメムシは体長が約3ミリメートルと本種よりもかなり小型で、身体がずっとずんぐりとしており、また複眼が明らかに突出しているなど、外見上の特徴がオオメダカナガカメムシとは大きく異なります。メダカナガカメムシはマメ科植物の害虫として知られ、しばしば集団で発生することがあります。このように、同じ科に属していても、体サイズ、体型、生態において違いが見られます。

出典情報

本記述は、以下の参考文献に基づいています。

• - 石井悌他編、『日本昆蟲圖鑑』、北隆館 (1950)
• - 石川忠他編、『日本原色カメムシ図鑑 第3巻』、全国農村教育協会 (2012)
• - 梅谷献二、岡田利益承編、『日本農業害虫大事典』、全国農村教育協会 (2003)

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