メダカナガカメムシ

メダカナガカメムシ (Chauliops fallax) は、メダカナガカメムシ科の小さな昆虫です。特に横に突き出した大きな複眼が目を引く特徴です。このカメムシは主にマメ科の植物を食べて生活しており、場合によっては畑の作物に被害を及ぼすこともあります。

特徴

このカメムシは非常に小型で、体長は約3ミリメートルほどしかありません。全身は落ち着いたセピアのような色合いをしています。頭部は小さいものの、そこから左右に大きく張り出した複眼が特徴的で、その基部はまるで柄のようになっています。頭部は暗い茶色で、横の部分はほぼ黒に近く、複眼も黒色です。頭部の先端は下向きに曲がっています。

触角は四つの節から成り立ち、根元にあたる第一節は非常に太く、次の第二節は細く最も長い形をしています。先端の第四節は少し太くなった棍棒状です。第一節と第四節は濃い黒褐色で、中間の第二節と第三節は明るい茶色をしています。

前胸背は盛り上がっており、前の縁の近くには横長の対になった模様があります。小楯板は黒褐色です。前翅の根元の硬い部分は色がやや薄めですが、先端に近い部分には決まった形のない黒褐色の模様があります。先端の膜状の部分は透明です。腹部の横に張り出している結合板は平らで、各節の後ろ半分は黒褐色になっています。体の下面は概ね黒褐色で、歩脚は濁った黄色です。

習性や分布

メダカナガカメムシは、クズ、ハギ、ヤブマメ、ヌスビトハギといった野生のマメ科植物を主な食草としています。また、栽培されているダイズやアズキを食べることもあります。成虫の状態で冬を越します。

日本では、本州、四国、九州に広く分布しており、隠岐諸島、対馬、南西諸島にも生息しています。国外では、台湾、朝鮮半島、中国にも分布が確認されています。

分類

メダカナガカメムシが属するメダカナガカメムシ属 (Chauliops) は、アフリカ、東洋区、東アジアにかけて約10種が知られていますが、日本国内で見られるのは本種のみです。同じメダカナガカメムシ科の仲間としては、日本にはもう一種、オオメダカナガカメムシ (Malcus japonicus) がいます。この種は体長が5.5ミリメートルと、メダカナガカメムシの倍近い大きさがあり、食草もクワであるため、本種と間違えることはほとんどありません。

利害

ダイズやアズキなどのマメ科作物を食害することがあります。特に、成虫がクズなどの多い山間部で繁殖し、そこから畑に入ってくるケースが多いようです。このため、クズなどが多く見られる場所の近くで発生が多くなります。花や実を食べることはなく、茎や葉柄、葉から植物の汁を吸います。吸汁された部分は白い点となり、次第に広がって斑点となり、さらに茶色く枯れることもあります。しかし、非常にたくさんの個体が発生しない限り、収穫量に大きく影響することは少ないと考えられており、農業害虫としてはそれほど重要視されていません。

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