オオヤマツミ

大山津見神（おおやまつみのかみ）

大山津見神は日本神話において著名な神の一柱とされ、多くの神社で祀られています。別名として大山積神や大山罪神、さらには和多志大神、酒解神などがあり、文献によって異なる呼称が見受けられることも特徴です。特に『古事記』では「大山津見神」、『日本書紀』では「大山祇神」との表記が見られます。1972年の調査結果によると、全国の1万318社の神社のうち、約85%が「大山祇神」と呼び、大山津見神は9%、大山積神は5%に留まっていることがわかっています。

神話における大山津見神の役割

大山津見神の神話の記述は、主に『古事記』と『日本書紀』に見られます。『古事記』によれば、彼は伊邪那岐命と伊邪那美命の間で生まれ、鹿屋野比売神と交わることで四対八柱の神々を産みました。これに対し『日本書紀』では、イザナギが軻遇突智を斬ることで大山津見神が生まれたとされています。大山津見神の神話では、彼の子や娘たちが重要な役割を担っていることが強調されており、特にスサノオの妻、櫛名田比売の両親が彼の子孫と名乗っている点は興味深いです。

大山津見神はまた、多くの神との結婚を通じて、新たな神々の系譜を形成します。特に、彼の娘である木花之佐久夜毘売は、天孫降臨の際に邇邇芸命と出会い、オオヤマツミは彼女とその姉、石長比売を天孫に捧げるエピソードが有名です。

大山津見神に関する名称の解説

大山津見神の名で使われる「ツ」は「の」、「ミ」は神霊を表し、したがってこの名称は「大いなる山の神」という意味合いを持っています。この神はユネスコの記憶遺産にも登録されている山本作兵衛の炭鉱画においても取り上げられています。

大山津見神を祀る神社

大山津見神を祭る神社は、日本全国に広がっています。その中には「大山祇神社」、「山積神社」、「三島神社」などがあり、これらの神社はそれぞれの地域において独自の信仰を持っています。1973年の調査によると、全国に897社の大山祇神社が存在し、特に愛媛県の大山祇神社が総本社とされております。また、三島神社は402社、山神社は3075社が確認されています。

大山祇神社は特に鉱山開発と深い結びつきがあり、鉱山の神として崇められることが多いのです。歴史をさかのぼると、戦前にはサイパンや樺太にも勧請されていた過去があります。一方、三島神社はその総本社が大山祇神社と近しい関係にあり、特に愛媛県では130社存在しています。これに対して高知県や福島県にも多くの神社が点在しています。

また、山神社は大山祇神社の分社や地方の山神を祀った神社で、3075軒が確認されています。さらに、十二神社という特定のグループの神社の65%は大山祇神を祭っています。

まとめ

大山津見神は、日本神話の中でも重要な存在であり、多様な信仰の背景を持っています。この神が崇拝される神社は日本各地にあり、その数は実に多岐に渡ります。伝説や信仰は地域によって異なるものの、共通して自然との深い結びつきを示しており、今でも多くの人々によって敬われています。

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