オオヨシキリ

オオヨシキリ（大葦切）

オオヨシキリ（学名：Acrocephalus orientalis）は、スズメ目ヨシキリ科に分類される鳥類で、東アジアに広く分布する渡り鳥です。

分布

オオヨシキリは、インド、インドネシア、カンボジア、シンガポール、タイ、韓国、中国、北朝鮮、日本、フィリピン、ブルネイ、ベトナム、マレーシア、モンゴル、ラオス、ロシア東部といった広範囲に分布しています。
繁殖地は、中国、日本、モンゴル、朝鮮半島、アムール川流域などで、冬季になるとフィリピン、マレー半島、スマトラ島、モルッカ諸島などへ渡ります。

形態

オオヨシキリは、オスが全長17.8 - 18.9cm、メスが17 - 17.7cm程度です。体の上面はオリーブ褐色、下面はバフ白色をしています。目の上には、バフ白色の明瞭な眉状の斑紋（眉斑）があるのが特徴です。

分類

かつては、オオヨシキリはニシオオヨシキリ（Acrocephalus arundinaceus）の亜種とされていましたが、ミトコンドリアDNAの分子系統解析により、チュウヨシキリ（Acrocephalus stentoreus）に近縁であることが判明しました。この結果から、現在では独立種として扱われることが有力となっています。

生態

オオヨシキリは、主にヨシ原に生息していますが、渡りの途中では低地の森林に立ち寄ることもあります。
繁殖は卵生で、繁殖期になるとオスは縄張りを形成し、高所でさえずって縄張りを主張します。一夫多妻の繁殖形態をとり、縄張りを持つオスのうち20〜30%は2〜3羽のメスとペアになります。しかし、約15%のオスは縄張りを形成してもメスとペアを形成できないこともあります。
巣は、オギやヨシの茎や枯れ葉を組み合わせてお椀状に作られ、1つの巣に3〜5個の卵を産みます。メスのみが抱卵を行い、抱卵期間は約13日間です。雛の育雛期間は約14日間で、オスは自分の縄張り内で最も繁殖が進んでいる巣にだけ給餌を行います。

オオヨシキリの鳴き声は、「ギョギョシ」と聞こえることが特徴で、その鳴き声から俳句の世界では「行々子（ぎょうぎょうし）」という別名でも親しまれています。

参考文献

日本鳥類目録編集委員会 (編). 日本鳥類目録 改訂第7版. 日本鳥学会, 2012, 476 pp.

関連項目

ヨシキリ科
チュウヨシキリ
ニシオオヨシキリ

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