オオワニザメ

オオワニザメの全貌

オオワニザメ（大和邇鮫、Odontaspis ferox）は、ネズミザメ目に属するサメで、主に熱帯や温帯の海域に生息しています。深海の岩場を好みますが、時には浅瀬にも姿を現し、特定の場所に毎年戻る行動が知られています。このサメは、シロワニとは第1背鰭の位置や大きさで区別され、全長は最大で4.5メートルに達することもあります。近年ではアイルランドやイギリスの海域でも目撃されていますが、その生態にはまだ多くの謎が残っています。

分類と系統

オオワニザメは1810年にフランスの博物学者アントワーヌ・リッソによって最初に記載され、その後1950年にはギルバート・パーシー・ホイットリーがオーストラリアでの標本を基に新たな種として記述しました。しかし、種の定義は曖昧になり、1984年にはオオワニザメとホイットリーが記載した種が同一であるとされました。種小名feroxは「獰猛」を意味し、英語ではblue nurse sharkやfierce sharkと呼ばれています。

1997年のDNAによる研究では、オオワニザメはシロワニとは異なり、オナガザメに近いことが示唆され、類似性は収斂進化の結果である可能性が考えられています。オオワニザメの化石は530万年前の地層から発見されるなど、長い歴史を持っています。

特徴

このサメは、特徴的な球根状の吻とずんぐりした体型をしており、目は中程度の大きさで丸い瞳孔が特徴的です。また、歯は多数が突き出ており、小さな歯に隔てられた大きな歯も存在します。鰭の形状は角張っており、大きな第一背鰭が特徴です。体色は背面が灰色から褐色であり、腹面は明るく、成魚にはさまざまな暗い斑点が見られます。

分布と生息地

オオワニザメは広範囲に分布しており、東大西洋ではビスケー湾からジブラルタル、地中海の各地、西大西洋ではアメリカのノースカロライナ州やメキシコ、南にわたってアフリカの海域まで見られます。北太平洋では日本、ハワイ、カリフォルニアからも報告され、南太平洋ではオーストラリアとニュージーランドでも確認されています。深海に生息していることが多く、水深880メートルからも捕獲されており、冷水を好む傾向があります。

生態

オオワニザメは通常、単独または少数の群れで行動し、非常に高い遊泳力を持っています。特に水深30～45メートルの岩礁に集まる行動が観察されており、その理由はまだ明らかになっていません。捕食者は成体には知られていませんが、ダルマザメによる噛みつきの例があります。主に底生の魚や無脊椎動物を捕食し、最も大きな獲物は1.3メートルのヨロイザメとされています。

繁殖と成長

妊娠したオオワニザメの観察例はありませんが、卵胎生であると考えられています。母体内での胎仔の育成には卵を食べる特性があると推測されており、出生時は約1.0～1.1メートルとされます。性成熟には雄が約2.0〜2.5メートル、雌が3.0〜3.5メートルで達成すると考えられています。

人間との関係

オオワニザメはその穏やかな性格から、ダイバーとの接触時でも攻撃的にならないことが知られています。しかし、漁業活動や人間の影響により、個体数は減少傾向にあります。日本では食用として利用されることがあり、脚や軟骨も価値が見出されています。オーストラリアでは保護が進められていますが、漁獲量の減少が続いているため保存の懸念が高まっています。このサメは現在、危急種として評価されており、保全活動が求められています。

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