オカミミガイ

オカミミガイの詳細

オカミミガイ（学名：Ellobium chinense）は、陸環節目オカミミガイ科に属する巻貝の一種です。主に東アジアの熱帯・温帯地域に生息しており、特に汽水域周辺の塩性湿地で広く確認されています。オカミミガイ科の貝類を総称して「オカミミガイ」または略して「オカミミ」と呼ぶこともあり、この場合は同属の広範な意味を含みます。

特徴

オカミミガイは、日本産のオカミミガイ類の中では最大の種類で、成貝は殻長およそ40mm、殻径約25mmに達します。貝殻はラグビーボールのように楕円球形で、厚みがあり、外観には微細な布目模様が見られるものの、比較的滑らかです。光沢のない褐色の殻皮が覆っており、殻頂部分はしばしば欠けて丸みを帯びています。殻口は水滴のような形をしており、その縁は白く、外唇が分厚くなっています。殻底近くには、内唇と軸唇に計3つの歯状突起が発達していますが、最上部の突起は痕跡的です。

成体の色合いについては、殻外に出た部分がベージュ色で、しわ模様が特徴的です。また、触角が短い橙色をしている点もポイントです。若い個体では殻口の外唇が肥厚しておらず、殻頂周辺に短毛が生えています。老成個体になると、褐色の殻皮が剥がれ、黄白色に変わることが多く、外観もジャガイモのようにいびつな形に変化します。この貝の名前の由来は、海岸の陸地に生息し、水中ではほとんど活動しないこと、さらに殻口を含む突起が人間の耳たぶに似ている点にあります。学名の「chinense」は、中国に生息地があることを示しています。

生態

オカミミガイは、三河湾以南の本州、四国、九州および朝鮮半島、中国南部に生息しています。特に、伊勢湾岸や有明海沿岸では比較的多く見られますが、東京湾や愛媛県ではすでに絶滅したと考えられています。また、南西諸島では記録がありません。日本国内では他のオカミミガイ類と比較すると、分布域が広く多様な生息地を持つため種としての存続が期待されています。

主に河口や内湾周辺の汽水域の塩性湿地に生息し、満潮線より上の特定の高さまで分布が確認されます。生息地では明確な帯状分布がみられ、陸から水域への傾斜が緩やかな場所でしばしば多くの個体を見かけることができます。陸生の貝ですが水中に入ることは稀で、乾燥した地域にも見られないため、カタツムリに近い生活様式を持っています。主に暗く湿った環境を好み、昼間は枯れ葉や岩、漂着物の下で隠れていることが多く、屋外で発見するのは容易ではありません。しかし、長い糞を残すため、その存在を確認する手がかりにはなります。活動期は春から秋にかけてで、アシ原などから這い出す様子も観察されます。

同じ生息地には、ユビアカベンケイガニやフタバカクガニなどのカニ類が多く見られ、一緒に共存しています。オカミミガイ科の他の種類とも同じ環境に生息し、特にナラビオカミミガイなどと共存して見られます。

保存状況

オカミミガイは環境省のレッドリストにおいて絶滅危惧II類（VU）として分類されており、一部の地方では絶滅や絶滅危惧I類に指定されています。生息地の消失は主に埋立や港湾整備、河川改修によるものであり、特に人間による影響が強く出ています。しかし、この種に対する利用価値は低いため、保護されることはあまりありません。日本の環境省が作成したレッドリストの2007年版では、絶滅危惧II類（VU）として指定され、各県の個別のレッドリストでも多く参加されています。

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オカミミガイは独特の生態と形状を持ち、環境変化に敏感な種です。貝類の中でも目立つ存在ですが、人間の営みがその生息地に影響を及ぼすとともに、その保護が求められています。

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