オキナワキムラグモ属

オキナワキムラグモ属 (Ryuthela)

オキナワキムラグモ属 Ryuthela は、クモ目ハラフシグモ科に属する分類群の一つです。琉球列島の固有種であり、沖縄本島、伊平屋島以南から西表島にかけて分布しています。

形態

形態的な特徴は、近縁のキムラグモ属と共通する部分が多く、詳細はキムラグモ属およびハラフシグモ科の項目を参照してください。一般的に、体長は雌で9-14mm、雄で7-10mm程度です。体色は淡黄色から褐色で、雄の方が色が濃い傾向にあります。キムラグモ属との主な区別点は以下の通りです。

雌: 生殖器の受精嚢が1対であるか、左右が合一して1個になっている。
雄: 触肢器の付節が幅に比べて長い。側盾板に鋭い棘がある。

分類

オキナワキムラグモ属は、当初キムラグモ属と混同されていました。ドイツの昆虫学者ハウプトが配偶行動を研究した際、沖縄産の標本が九州産と大きく異なることに気づき、別種として区別しました。その後、別属として独立させたのがこの属です。ハウプトは、標本提供者である西平守孝（当時琉球大学助教授）に献名し、Heptathela nishihirai（オキナワキムラグモ）と命名しました。また、この属に対してニシヒラグモ属という和名を提唱しています。オキナワキムラグモ属は、キムラグモ属と最も近縁であると考えられています。

日本国内では琉球列島南半にのみ分布しており、小野展嗣（2009）は7種を記録していましたが、その後の研究で3種がシノニムとされました。2017年にはさらに9種が記載されましたが、分類はまだ流動的な状況です。以下に、谷川明男（2024）による種名リストと、小野展嗣（2009）による分布情報を記載します。

種名リスト

Ryuthela iheyana Ono, 2002 イヘヤキムラグモ：伊平屋島
Ryuthela sasakii Ono, 1997 クメジマキムラグモ：久米島中央部・南部
シノニム: Ryuthela secundaria Ono, 1997 キタクメジマキムラグモ：久米島北部
シノニム: Ryuthela owadai Ono, 1997 トカシキキムラグモ：慶良間諸島渡嘉敷島
Ryuthela nishihirai (Haupt, 1979) オキナワキムラグモ：沖縄本島
Ryuthela ishigakiensis Haupt, 1983 イシガキキムラグモ：石垣島
シノニム: Ryuthela tanikawai Ono, 1997 イリオモテキムラグモ：西表島

参考文献

小野展嗣 (2009) 日本産クモ類目録. 日本蜘蛛学会.
* 谷川明男 (2024) 日本産クモ類図鑑. (未出版)

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