オギルビー・トランスポーテーション・センター

オギルビー・トランスポーテーション・センター（Ogilvie Transportation Center、略称: OTC）は、アメリカ合衆国イリノイ州シカゴの主要な鉄道駅です。正式にはリチャード・B・オギルビー・トランスポーテーション・センターと呼ばれています。シカゴ・ダウンタウンの中心部に位置し、イリノイ州内の通勤・近郊鉄道システムであるメトラ（Metra）が運行する3路線の終着駅として機能しています。

駅施設は、ダウンタウンのシカゴ川西側、ユニオン駅の北にあるシティグループセンタービル（旧ノースウエスタン・アトリウム・センタービル）の2階に設けられています。プラットホームは南北に約2ブロックにわたって広がっています。

歴史

オギルビー・トランスポーテーション・センターの歴史は、1911年に遡ります。当時、シカゴ・アンド・ノース・ウエスタン（C&NW）鉄道が、従来のウェルズストリート駅に代わる新たなターミナルとして「シカゴ・アンド・ノース・ウエスタン駅」（通称：ノースウエスタン駅）を建設しました。駅舎は、1903年に完成したラサール・ストリート駅と同様、フロスト・アンド・グランガー社が設計を手がけたネオ・ルネサンス様式でした。高架式で16のプラットホームを備え、272メートルに及ぶブッシュ式屋根の駅車庫や、34メートル×62メートル、高さ26メートルの筒型ヴォールト構造の大待合室を中心とした施設を有していました。

鉄道輸送が全盛期を迎えた時代には、ノースウエスタン駅はC&NW鉄道の主要拠点として、ウィスコンシン州のミルウォーキーやマディソン、ミネソタ州のミネアポリスやセントポールといった中西部各地への列車が発着していました。さらに、1955年までは、ユニオン・パシフィック鉄道の長距離列車「オーヴァーランド・リミテッド号」や「シティ」シリーズの終点としても利用されていました。

時代を経て、1984年には旧駅舎の取り壊しが始まり、鉄骨とガラスを多用した高層ビルへの建て替え工事が進められました。1987年には、42階建てのノースウエスタン・アトリウム・センタービル（現在のシティグループセンタービル）が竣工しました。

1991年には、駅車庫部分がC&NW鉄道からメトラに売却され、その後の調査で大規模な改修が必要であることが明らかになりました。翌年から始まった改修プロジェクトは、60を超える建設会社が参画し、延べ80万人時の労働力が投入された非常に大規模なものでした。コンピュータ化されたコンストラクション・マネジメント方式や、品質保証（QA）/品質管理（QC）活動が導入されるなど、先進的な手法が用いられました。4年間に及ぶ工事を経て、総額1億3800万ドルが投じられました。

1995年にはC&NW鉄道自体がユニオン・パシフィック鉄道に買収されました。

そして1997年、駅の名称はオギルビー・トランスポーテーション・センターへと変更されました。この名称は、ミルウォーキー鉄道の役員を務め、イリノイ州知事として地域交通局（RTA、メトラの前身組織）の設立に尽力するなど、鉄道網の発展に生涯を捧げたリチャード・オギルビー氏の功績を称えて命名されたものです。しかし、現在でも多くの人々が、かつての「ノースウエスタン駅」という名前でこの駅を呼んでいます。

現在、オギルビー・トランスポーテーション・センターは、ユニオン・パシフィック鉄道に運行が委託されているメトラの3路線の主要ターミナルとして機能しています。

構造

駅のコンコースや切符販売窓口は、シティグループセンタービルの2階に設けられています。ここからドアを通じて北側に位置するプラットホームへアクセスします。プラットホーム階からは、1階のコンコースへ降りる階段があり、クリントン・ストリートやキャナル・ストリート方面へ直接出ることが可能です。

シティグループセンタービル内には、駅の利用客や周辺のオフィスワーカー向けの様々な施設が入居しています。1階にはフードコートや各種店舗、2階にはレストラン、バー、さらに多くの店舗に加え、シティバンクの窓口やATMが設置されています。シカゴで有名なギャレット・ポップコーンやファニー・メイ・チョコレートの店舗もこのビル内にあります。

乗入れ路線

オギルビー・トランスポーテーション・センターは、シカゴ・ダウンタウンとイリノイ州およびウィスコンシン州南東部の郊外を結ぶメトラのうち、以下の3路線の起点・終点駅となっています。これらの路線は現在、メトラから委託を受けたユニオン・パシフィック鉄道によって運行されています。

UP-N線 (Union Pacific District North Line)：北方面へ向かい、ウィスコンシン州ケノーシャに至ります。エバンストンを経由するほか、夏のラビニア音楽祭が開催されるラビニア・パーク駅にも停車します。1990年のヒット映画「ホーム・アローン」に登場する列車はこの路線で撮影されました。
UP-NW線 (Union Pacific District Northwest Line)：北西方面へ向かい、ハーバード（Harvard）およびマックヘンリー（McHenry）方面へ分岐します。
UP-W線 (Union Pacific West Line)：西方面へ向かい、エルバーン（Elburn）に至ります。

アクセス

オギルビー・トランスポーテーション・センターには、シティグループセンタービル内外に複数の出入口があります。

マディソン（Madison）：シティグループセンタービルの正面にあたる南側の主要な入口です。
ワシントン（Washington）：ビル北側の入口です。
クリントン（Clinton）、キャナル（Canal）：プラットホーム下の1階にあるコンコースから、それぞれの通りに出られる入口です。
リバーサイド（Riverside）：駅から1ブロック東にあるシカゴ川沿い（マディソン・ストリートとリバーサイド・プラザの交差点付近）にも入口があり、そこから緩やかな傾斜路やエレベーターなどでシティグループセンタービル2階の駅施設に直接アクセスできます。この入口は、ユニオン駅のマディソン側の出入口のほぼ向かいに位置しています。

CTA（シカゴ交通局）への接続

オギルビー・トランスポーテーション・センターからは、シカゴ交通局（CTA）が運行するバス路線や、「シカゴ・L」と呼ばれる高架鉄道・地下鉄への乗り換えが可能です。CTAバスの停留所は、道路状況などにより変更されることがあるため注意が必要です。

CTAバス：駅周辺には多数のバス路線が停車します。主な路線としては、#14 Jeffery Express、#19 United Center Express（イベント開催日のみ）、#20 Madison（深夜運行あり）、#X20 Washington/Madison Express（平日のみ）、#38 Ogden/Taylor（平日のみ）、#56 Milwaukee、#60 Blue Island/26th（深夜運行あり）、#120 Ogilvie/Wacker Express、#122 Illinois Center/Ogilvie Express（深夜運行あり）、#124 Navy Pier（ネイビー・ピア行）、#125 Water Tower Express（平日のみ）、#128 Soldier Field Express（シカゴ・ベアーズ試合開催日のみ）、#129 West Loop/South Loop（平日のみ）、#130 Museum Campus（夏季のみ、ミュージアム・キャンパス行）、#157 Streeterville（平日のみ）、#192 University of Chicago Hospitals Express（平日のみ）などがあります。
シカゴ・L：
ループ線（ブラウン、オレンジ、ピンク、パープルライン）へは、リバーサイド出口から徒歩で約1ブロック北、3ブロック東にあるワシントン駅が最寄りです。
ブルーライン（オヘア国際空港方面）へは、リバーサイド出口から東へ6ブロックほど歩いたワシントン/ディアボーン駅またはモンロー/ディアボーン駅が最寄りですが、少し距離があるため、マディソン出口から西行きの56番バスに乗りグランド/ハルステッド駅で乗り換えるか、ワシントン出口から東行きの20/X20番や56番バスでディアボーン・ストリートまで行き乗り換える方法も利用できます。
グリーンラインへは、クリントン出口から北へ約1.5ブロックのクリントン/レイク駅が便利です。
レッドラインへは、リバーサイド側のエントランスから東へ7ブロックほど歩いたモンロー/ステート駅が最寄りですが、こちらも距離があるため、東行きのCTAバスでステート・ストリートまで行き乗り換えるのが一般的です。

空港への接続

オギルビー・トランスポーテーション・センターからシカゴの主要空港へのアクセスも可能です。

シカゴ・オヘア国際空港（ORD）：CTAブルーラインを利用するのが一般的です。ワシントン/ディアボーン駅またはモンロー/ディアボーン駅まで移動し、ブルーラインに乗車します。所要時間は約90分です。タクシーを利用する場合、交通状況によりますが、通常30分程度、料金は約40ドルからですが、交通量の多い時間帯には75分以上かかることもあります。
* シカゴ・ミッドウェー国際空港（MDW）：CTAオレンジラインを利用します。ワシントン駅から徒歩でオレンジラインの駅へ向かいます。所要時間は約60分です。タクシーの場合、通常20分程度、料金は約25ドルからですが、交通状況に左右されます。

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