オクサナ・チュソビチナ

オクサナ・チュソビチナ：体操界のレジェンド

オクサナ・アレクサンドロブナ・チュソビチナ（Oksana Aleksandrovna Chusovitina、1975年6月19日 - ）は、女子体操競技における不屈のパイオニアです。ソビエト連邦（現ウズベキスタン）で生まれ、ソビエト連邦代表、ドイツ代表を経て、現在はウズベキスタン代表として活躍しました。

輝かしいキャリアの幕開け

7歳で体操を始めたチュソビチナは、その才能を開花させ、1990年にはソビエト連邦のナショナルチームに選出されます。翌1991年の世界体操競技選手権（インディアナポリス）では、早くも金メダルを獲得し、その名を世界に知らしめました。ソビエト連邦崩壊後、独立国家共同体（EUN）の一員として出場した1992年バルセロナ五輪でも、団体金メダルを獲得し、若き才能は頂点を極めます。

苦難を乗り越えて

バルセロナ五輪後も、チュソビチナは故郷ウズベキスタンで現役を続けます。しかし、経済的に恵まれない状況の中、1994年アジア競技大会では団体総合に出場できないという苦難も経験しました。1997年にはレスリング選手のバホディル・クルバノフと結婚。翌年にはアキレス腱を断裂し、選手生命の危機に瀕します。リハビリ中の1999年には長男アリーシャが誕生しました。

家族の愛と支え

2002年、アリーシャが白血病を発病し、ドイツで治療を受けることになります。治療費を捻出するため、チュソビチナは出場種目を跳馬に絞り、競技生活を続けながらスポンサーを探しました。2003年世界体操競技選手権（アナハイム）では、見事金メダルを獲得。しかし、2004年アテネ五輪では予選で転倒し、予選敗退という不本意な結果に終わります。

ドイツ代表としての挑戦

2006年、チュソビチナはドイツに帰化。同年10月の世界選手権では、国籍変更が認められ、11年ぶりに団体総合に出場します。2008年北京五輪では、ドイツ代表として初のオリンピック出場を果たし、個人総合9位、跳馬では銀メダルを獲得しました。

さらなる高みへ

2009年に再びアキレス腱を断裂し、肩も痛めたチュソビチナは、一時大会から遠ざかります。しかし、2010年世界体操競技選手権（ロッテルダム）で復帰を果たすと、同年のアジア大会では母国ウズベキスタンのコーチとして参加。翌2011年の世界選手権（東京）では、跳馬で銀メダルを獲得しました。2012年ロンドン五輪では、女子体操選手として史上初の6度目の五輪出場を果たし、跳馬種目別で5位入賞を果たします。

ウズベキスタンへの回帰とレガシー

2013年以降、チュソビチナは再びウズベキスタン代表として競技を続けます。2014年仁川アジア競技大会では、団体総合5位、種目別跳馬で銀メダルを獲得。2016年リオデジャネイロ五輪では、41歳にして女子体操選手として史上初の7度目の五輪出場を果たし、跳馬種目別で7位入賞。2018年ジャカルタ・アジア競技大会では、43歳で跳馬銀メダルを獲得しました。

2021年、46歳で8度目の五輪となる東京オリンピックに出場。自身の名前がつけられた大技「チュソビチナ」を成功させ、観客を魅了しました。東京五輪後、現役引退を表明しましたが、ウズベキスタン代表としてのメダル獲得への思いから、2022年アジア競技大会への出場を目指し、トレーニングを再開しました。

オクサナ・チュソビチナは、年齢の限界を超え、常に挑戦し続ける姿で、世界中のアスリートに勇気と希望を与え続けています。 ее輝かしいキャリアは、体操界の歴史に永遠に刻まれることでしょう。

もう一度検索